アダムとイブのせいにして
思わず身体がノってしまうくらい心地よいリズムに乗せられた、この世の終わりかよってほど哀しみに暮れた歌詞。
”私を捨てたあなたのせい”
そう思っていないと、やってられないよ。
でもあなたは好きだった人だから、恨むことはできない。
だけどわたしからあなたを盗ったあの子は憎い。
見たことも会ったこともない、無関係な親まで憎んでしまうほど。
「全部誰かのせいにしてしまえば楽なのに」
それは結局、
「全部誰のせいにもできない」
ってことで。
でも「自分が悪かった」と認めてしまったら最後、哀しみや憎しみに押しつぶされてしまうから。
人間の根源であるアダムとイブに責任を負わせてみても、なにも世界は変わらないことはわかってる。
それでも誰かに、なにかに、罪をなすりつけでもしないとやってられない。
最初から全部なくなってしまえ。
最初から全部はじまらなければよかったのに。
現実逃避していたって、自分の現状くらい本当はわかる。
だけど今だけは考えさせないでよ。
現実を知らせないでよ。
友達にも、家族にも、会いたくない。
心配されて、励まされたら、これが現実だって認めてしまうことになる。
幸せになるために生きているのだから、
あなたを恨むのも、あの子を憎むのも、疲れた。
泣いて泣いて泣いて、たくさん泣いて、すべてなかったことにする。
あなたがいなくなるだけ、たったそれだけなのに、すべてがなくなってしまうくらいの喪失感。
現実から目を背けて、
最初からなにもはじまらなければよかったなんて考えて、
たくさん泣いて、
それでもあなたは戻ってこないし、
なかったことにはならないし、
肌は荒れるし、
これはわたしの現実なんだ。
「もっとあのときこうしてたら」
「もっとわたしがこうだったら」
なんて考えてももう全部が遅い。
わたしはちゃんと大切にできていたのかな。
今となっては自信がなくなる。
だってわたしは捨てられたから。
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