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アジフライの技術

ふわふわでサクサク。衣はソースを吸うが、でろでろになってはいけない。
きょうこそ邪気払いせずに素直に自宅へ帰ろうと思ったが、山城屋の提灯に吸い込まれた。誘蛾灯に群がる羽虫。でも仕方がない夏なので。

この酒場が自宅のはすむかいにあることだけは、自慢であるのだけれど、自慢できる人がいない。集う民が皆んな、特に目指して来ていないっぽいのがありがたい。大衆酒場と言われる場所は幾多あるけれども、交通の便悪さが手伝ってかここほど時流から排除された酒場はないのでは。昭和とか平成とか令和とか関係なく、ずっとただある。びっしり貼られた短冊、最近日本酒がちょびっと値上がりした。だいたい周りはおじいさま方。突如、ビール瓶の水滴を筆にとって風景画を描き始める先生。絵を解説と共にプレゼントしてくれる先生。銭湯帰りで頭にタオルを巻きつけたおじいちゃん。ホッピーのナカしか頼まないお爺さま。カオス的素敵空間。

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