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可惜夜

可惜夜という言葉を知った。
可惜夜(あたらよ) 明けてしまうのが惜しい夜

自分の若いころを思い出してみると、恋人と過ごす夜とか、流星群を堤防に寝転んで見た夜などが可惜夜だったのかな。
ここ10年くらいは、仲間と語りあう夜や、子どもたちと年越しライブをテレビで見ていた大晦日などが当てはまるだろうか。

最近では、1話からこのドラマを再視聴した夜はわたしにとっての可惜夜だった。

わたしはドラマや映画を見ることが大好きで、何度も何度も繰り返し見るドラマもある。
ここ最近で1番好きなドラマがこのドラマで、三浦しをん先生の原作『舟を編む』は好きな小説ベスト10に入る。

中型辞書を作るために尽力する辞書編集部の編集者、監修の先生、学生アルバイト、事務員さん、元編集部員の宣伝部員、そして辞書のための紙を作る製紙会社の担当者、ブックデザイナーなど、数年かけて一冊の辞書を作る人たちの物語。

このドラマを見ていると、美しい言葉、優しい台詞が琴線に触れる。言葉に感動してメモをとるほど。
そして、わたしは言葉を知らなさすぎると反省もする。

メモした台詞を二つ紹介しよう。

なぜそう思ったのか言葉にしてくださいと言われ、うまく言葉にできないと答える新人編集者に対して

うまくなくていいです。
それでも言葉にしてください。今、あなたの中に灯っているのはあなたが言葉にしてくれないと消えてしまう光なんです。

これは書くことに通じる。考えて、考えて、考える。
言葉は光、素敵だ……

同居していた彼氏が突然出て行ってしまって落ち込む新人編集者に対して

あきらめて あきらめて あきらめて欲しいです

先輩編集者はこう言う。諦めの三乗? 
辞書をひいてみると、先輩の思いが分かる。
先ずは彼氏がなぜ出ていったのか、修復できないのか、事情・理由をあきらかにすること。認めて断念して思い切ること。そして気持ちを晴れやかにすること。
明らめて、諦めて、明らめてほしいと伝えてくれたのだ。
日本語は丁寧に生きることを教えてくれる。自分を知る術を教えてくれる。
辞書は自分に寄り添う、心強い相棒なのだ。

辞書を読みたくなってくるでしょ?
このドラマ、見たくなるでしょ?
本気でおすすめします。
シナリオブックの出版希望!!!


昨夜も可惜夜だった。
東京で働いている地元の友人が遊びに来てくれて餃子パーティーをした。
まだ窓の外が明るい時間から餃子を焼き、友人はビール缶をプシュッと開ける。
テレビで宇多田ヒカルと椎名林檎のコラボパフォーマンスを見て、いただいたケーキを食べながら語らう。
これぞ可惜夜、これぞ休日。
来週もがんばりましょう。


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