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たんぽぽまつり

春の足音が駆け足に変わる頃、たんぽぽまつりが開催された。
河川敷一面にたんぽぽ。そのたんぽぽに負けじと、スミレ、菜の花、レンゲ草、シロツメグサ、ホトケノザ、オオイヌノフグリなどの野花たちも、私を見てとばかりに美しさを競い合う。春のあたたかい光を浴びて、河川敷は虹色に輝き夢の世界への入り口となる。
たんぽぽまつりの趣旨は、愛する人への想いや、幸せ・平和を願うメッセージを自分の好きなたんぽぽに囁く。
その想いは綿毛となって、必ず届けられると言われている。もちろん遠い世界にも。

みんなの想いが詰まったクライマックスには、たくさんの野花が見守る中、綿毛が一斉に空高く舞い上がった。

「あっ、バルーンだ!」

少年が叫んだ。

たんぽぽが次から次へと鮮やかなバルーンに姿を変え、世界中へと飛び立った。

今年の秋には、バルーンたちはこの場所へ帰ってくるだろう。
みんなの夢を土産に!

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