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Happy Women's Map 沖縄県那覇市 沖縄初の女性作家 久志 芙沙子 女史 / First Female Okinawa Writer, Ms. Fusako Kushi

『琉球・沖縄 歴史人物伝』(新城俊昭 著 / 沖縄時事出版2007年)

「妾みたいな無教養な女の魂の訴へを、必死になつてもみ潰さうとなさるよりも、正々堂々と、そんな事位で差別待遇をつける資本家の方へでもぶつかつていらしたらどんなものでせう。」
"Rather than trying to suppress the plea of an uneducated woman, why not confront the capitalists who impose discrimination over such trivial matters?"

久志 芙沙子(本名 ツル) 女史 
Ms. Fusako Kushi / Tsuru
1903 - 1986
沖縄県首里区(現 那覇市) 生誕
Born in Shuri-ku, Okinawa-ken

久志 芙沙子(本名 ツル)女史は幻の沖縄女性作家。初めて女性の視点から沖縄を主張して打ち切られた連載小説「滅びゆく琉球女の手記」とその釈明文は、1世紀近くも語り継がれています。
Ms. Fuzako Hisashi (née Tsuru) is a legendary Okinawan female writer. Her serialized novel 'The Chronicle of the Perishing Ryukyu Woman,' which was the first to assert Okinawa from a female perspective, was discontinued, but the novel and its explanatory note have been passed down for nearly a century.
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「琉球士族の娘」
 芙沙子は首里の有力士族の家に生まれます。祖父・久志助法は琉球王国最後の「筆者主取」で中国や日本への文書作成を担当。父・助保は砂糖会社を経営するも事業に失敗。芙沙子が生まれる頃には住まいを転々とする貧しい生活に。琉装・琉髪・入れ墨・ユタが排斥され女性のヤマト化が進み、本土に進学または働きに出る女子が増える中、芙沙子は猛勉強して沖縄県立第一高等女学校卒業後に進学します。やがて伊波普猷が館長を務める沖縄県立図書館に婦人室が開設され、『青靴』などの女性雑誌を読んだり投稿もしたり、子ども会活動などに従事する女性利用者たちが増えます。芙沙子も文学少女となって『女学雑誌』などに短歌を投稿し始めます。与謝野晶子また林芙美子のように女性詩人また女性作家に憧れるも、沖縄ではまだ難しく芙沙子は小学校准教員となります。「寂しくもまたゝく星をみつむれば 星と我のみ生ける心地す」

「沖縄初の女性作家」
 第1世界大戦後の慢性的な不況でソテツ地獄となり、女子の人身売買はじめ本土また大陸への出稼ぎ者が急増。芙沙子は首里士族で台湾銀行に勤める安良城盛雄と22歳で結婚、台湾で新婚生活を始めます。芙沙子は台湾各地で沖縄女性と朝鮮女性を売りとする遊郭を目にします。長男・繁が2歳で夭逝すると、金融恐慌に襲われた台湾を脱出して一家で上京。やがて芙沙子は次男・勝也を残し離婚、7歳年下の慶応大学医学生・坂野光と駆け落ちして再婚します。満州事変後の戦時体制下で将来への不安を覚える芙沙子は、『婦人公論』誌の「実話 年上の女・年下の男」に「日記の抜き書き」を投稿。続いて、連載小説「滅びゆく琉球女の手記」を発表。「妾達はいち早く目覚めねばならぬ民族であり乍ら、骨に迄しみついたプチブル根性が災ひして、右顧左眄しつつ体裁を繕ひ繕ひその日暮しを続けてゐるのだ。」「妾は此の夕暮れの風景を好む。此の没落の美と呼応する、妾自身の中に潜む何物かに憧れを抱いた。(つづく)」

「女性宗教家」
 初めての沖縄女性作家の誕生は、かつて広津和郎の「さまよえる琉球人」を糾弾した東京沖縄県学生会と沖縄県人会から激しく糾弾されます。「沖縄をアイヌや朝鮮人と同一視されては迷惑する。」「我々を差別待遇して侮辱するものだ。」「就職難や結婚問題にも影響する」連載が打ち切られた芙沙子は釈明文を発表して文壇から去ります。「何も妾達は無理解な人達にこびへつらふ為に自分自身迄、卑屈な者になり下がる必要はないと妾は思つてゐます。」「妾みたいな無教養な女の魂の訴へを、必死になつてもみ潰さうとなさるよりも、正々堂々と、そんな事位で差別待遇をつける資本家の方へでもぶつかつていらしたらどんなものでせう。」芙沙子は夫の郷里・名古屋に移り、子供7人を育てながら、夫の難病を救った宗教団体・解脱会へ帰依して宗教家として活躍します。

-『婦人公論』誌(1931年6月)
沖縄現代史』(沖縄文化協会194?年)
-『琉球・沖縄 歴史人物伝』(新城俊昭 著 / 沖縄時事出版2007年)

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