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「集まる・移動する・対話する自由が人を豊かにする」山極壽一京大総長

 日本学術会議の山極壽一会長らが本日(7月20日)、東京の日本記者クラブでウエブ会見した。学術会議としてまとめた政府への提言を記者たちに説明した。厚労省ではなく内閣府の下に、政府の諮問機関として、常設で、科学的な内容を検討する専門家の組織を持つべきだ、という。

(表題写真は都内の飲み屋内の風景。少し前まではワイワイ集まって語り合う光景は当たり前だったが……)

学びには仲間が必要


 山極氏は比較的自由な気風で知られる京大の総長でもある。ヒト以外の類人猿を主に研究してきた山極氏はコメントで、 “人間らしさ”に関して以下のように言及した。

 「人間の社会は、集まる、移動する、対話する、の三つの自由で成り立っている。この三つが人の生活を豊かにする。でもコロナ下で、このうち前二者が制限された。接触すること、集まって活動することが共有できない。人間、特に子供や高齢者にとって厳しい」「対話の自由は、自分の意見を自由に話す権利」

「小中学校が再開したら、子供たちが生き生きした。学びは単に教材のみによるのではない。集まって仲間がいるところでないと、学びを身につけることは難しい。それが可能な仕組みを保証しなければならない」

人との交際は成長の機会

 同席した東北大名誉教授の糠塚康江氏(憲法学)からも同種の発言があった。「人間(じんかん)交際=ソサエティーは、人が人として生きるのに不可欠。移動の自由や集う自由が細ると、子供や若者が成長する機会を失う。ウィズコロナの時代に、人がリアルな活動をできるよう、人権の制限を必要最小限にするためにも、エビデンスに基づく科学が必要だ」

 ちなみに、会議に出席したのは、以下の3人。
①山極壽一・日本学術会議会長(京都大学総長)
②秋葉澄伯・日本学術会議第二部大規模感染症予防・制圧体制検討分科会委員長(弘前大学特任教授・鹿児島大学名誉教授)
③糠塚康江・日本学術会議第二部大規模感染症予防・制圧体制検討分科会幹事(東北大学名誉教授)

 同会議の政府への提言「感染症の予防と制御を目指した 常置組織の創設について」こちら

 なお、同会議は、専門家がエビデンスなど内容を確認したうえで、信頼に足る情報のみを集めた特設ページもhp内に作っている(論文は主に英文)。

(2020・7・20、長友佐波子執筆)

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