見ればわかる飼い主と犬との絆の深さ
①顔を見上げる行動
犬が頻繁に、飼い主さんの顔を嬉しそうに見上げる様子を見ると
(日々、いい関係づくりが出来ている素敵なペアだなぁ)
と感じます
これは継続的にレッスンへ通って頂いているペアにもよく見られます
レッスン当初は、地面の匂いを嗅ぎ続け
ウロウロ、キョロキョロ
集中力もあまりないワンコ
それが継続的にレッスンに通い、いろんな課題をクリアしていくにつれて
地面から顔が上がり、飼い主さんの顔を頻繁に見てくるようになる
そんな関係になっている時には、当初の問題や課題がずいぶん解決していて
飼い主さんも問題解決はもちろん、もっと愛犬と一緒に何かをすることが楽しくなってたりします
②オキシトシンについて
なぜこのようなことが起きるのかは研究があり
オキシトシンと呼ばれるホルモンが大きく関係していることがわかっています
オキシトシンは、特定の相手に対して絆を形成するホルモンで
人間やマウスの母子の間で絆が結ばれるのに働く物質があります。
(男性にも十分機能している)
人間の母子が見つめ合うと、お互いの体内でオキシトシンが増えると分かっています。
マウスでは、赤ちゃんが鳴き声を上げると、母の体内でオキシトシンが分泌され、関わり合いが深まるそうです。
安心感を生んだり、親しみを感じたりすることに関係しています。自分とつながりがある他者とない他者を区別するような作用もあるそうです。
哺乳類のオキシトシンは全て構造が同じで
猿の毛づくろい、
つがいの形成、
親子の絆、
触れ合いの効果、
授乳しているときの反応等にオキシトシンが役立っております
2013年の論文
オキシトシン神経系を中心とした母子間の絆形成システム
そして
人と犬との異種間でも同じようなことが起きることがわかっています
麻布大学の研究
ヒトとイヌの絆形成に視線とオキシトシンが関与
この研究によると
飼い主の方を見つめる行動が多い犬ほど、オキシトシンの尿中濃度が高いことがわかりました
ちなみにオオカミでは、人と親密な交流がはかられているペアでも、
人の顔をほとんど見ず、尿中のオキシトシン濃度の上昇はみられないそうです
これが、始めに書いた
「いい関係性が出来ているペアは、犬が飼い主の顔を頻繁に見てくる」理由です
③誘導でアイコンタクトを教えることをカリキュラムから外した理由
以前は、レッスンのカリキュラムの中に
「アイコンタクト」
と呼ばれる、犬の名前を呼んで、フードを握った手を胸やアゴの下に持っていき
目線を誘導して飼い主の顔を見る行動を教える
ということを教えていましたが、今ではあえてやってないです
しかしアイコンタクトが取れるようになること自体はとても大事なので
その代わりに、
何気なく飼い主さんの方を見ていたり、名前を呼んでパッと振り返ってくれたときには、褒めてね
というアドバイスはしています
理由が2つあります
④自然な感じで自発的に飼い主さんの顔を見ることが重要
私の顔(目)を見なさい。と強要するものではないなと
犬が嬉しくて楽しくて
飼い主さんの顔を思わず見る
だからオキシトシンが分泌されて、信頼感や安心感が生まれるわけですよね
ところが、犬が(地面の匂いを嗅ぎたいなぁ・・・)
そう考えているときに、人から名前を呼ばれ
見上げるまで連呼されたり
そうすると犬がしぶしぶ、仕方なく顔を見上げる
明確な理由があって、そうするのならともかく
(例えば、他犬が現れて、吠えるのを阻止するために使うなど)
犬が楽しくないなぁ・・・と感じている練習を、何度も繰り返すのはちょっと違っていて、シンプルに効率も悪いかなとも感じます
また、フードを持った手で誘導して顔を見る行動を教えたとて、見ているのは手
視線のコントロールをする時にはよく使う方法だけども、
アイコンタクトという意味では少し違うかな
理想的なアイコンタクトは、様々なアプローチを経て得られるようなもので
無理やり教えていくものでもないかな、と思ってます
⑤前を見て歩こう
もう一つの理由が、散歩の練習などで
飼い主の顔を見ながら歩き続けると、普通に危ない。という理由です
飼い主の顔を見ることを強化していくと、ずっと飼い主の方を見ながら歩くようになることがあります。
確かにそうすれば、リードの引っ張りは無くなるでしょう
犬も、いつフードが出てくるのかワクワク・ドキドキしてずっと横向きながら歩きます
しかし犬がそのことばかりに気を取られてしまうと、前を見なくなってしまう
足ものにある障害物につまづいたり、側溝に落ちたり
これ普通に危ない
前を向いて歩いて、障害物の確認をする。
ニオイを嗅ぐ時間もちゃんと作る
自然に飼い主の方をチラチラと見る・確認する
コミュニケーションを取りながら、自己判断も出来るようにしていくことの方が大事かなと思います
ちなみに散歩中に飼い主の方を全く確認しないのも、また違うのでバランスが大事です
⑥やってはいけないこと
目と目が合えば、信頼関係が築けるんだな
と、犬の真正面から人の顔を近づけたり、覗き込んだりすると
犬は顔を横にそらすことがあると思います
これ、犬にとっては「嫌だなぁ・・・」と感じているシグナルです
真正面から顔を近づけるというのは、犬同士でも失礼なコミュニケーションになり
場合によっては犬同士の喧嘩に発展することもあります
良かれと思ってやっていることが、犬にとってプレッシャーになることもあります
あくまで自然な感じで目と目が合う関係を作っていく
そうなるようなコミュニケーションを取っていきましょう
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