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【楽曲レビュー・EMPIRE】 SnowManが持つ「品」の正体|クリエイターと共に踏み込んだ新たな領域

2024年10月30日、SnowManから約1年半ぶりとなるフルアルバムが発売された。

「RAYS」と名付けられた本作は、発売から3日間で累積売上100万枚を突破。アルバムにおいては自身最速のミリオン達成。込めた想いの通り、より大きく、より遠くまで輝きを届けた。



本作のリードトラック に選ばれたのは「EMPIRE」
楽曲の斬新さが話題を呼び、公開から10日以内に3000万回再生を突破。またしても自身の記録を塗り替えた。

メイキングビデオ内では、「海外で1週間くらいMVを撮りたいね、というスタッフとの話から始まった」とラウールは語る。

2024年現在、世界にリーチするグループの多くはライブ以上にMVを作り込むことも珍しくない。再生回数が大きな影響力を持つ時代だからだ。

ドラマやバラエティ・ラジオなど活動の幅が広い日本のアイドルは、これまで1つの楽曲のみに時間や労力をかけづらい状況にあったが、今回SnowManはこの「EMPIRE」でその領域に踏み込んでいった。




高みではない、SnowManが次目指す場所とは

SnowManはこれまでいくつもの楽曲で「より高み」を目指すことを歌ってきた。

デビューシングル「D.D」
「Come on , Everybody Take you higher!!」(渡辺パート)

1stアルバム内「EVOLUTION」
「I want to take you higher」(岩本パート)

2ndアルバム内「Movin’ up」
「更にTake you higher」(向井パート)


常に向上心を持って次の目標を定めるSnowManをよく表現していたが、今回歌詞を読み解くと、明確にニュアンスが変わった。

この変化は、SnowManの未来を紐解くことになるかもしれない。

本作はデビュー曲「D.D.」から作詞に携わる栗原暁氏も参加している。一部のフレーズを抜粋して読み解いていく。

「高み」から「アイデンティの確立へ」

誰かが決めた Brand new black
ゴメン興味ない What’s your name!?
 

リーダー・岩本によるあまりに軽やかな捨て台詞から始まる今作。
「new black」とは「今のトレンド、流行」と言う意味のスラング。

これまで常に「上へ上へ」ともがいてきた彼らとはどこか違う。もはやこれまでのレースに興味はなく自分自身の行先に集中し始めた。

過去に対する肯定感

ここ数年、日本でもHip Hopが流行り、他者に対する対抗心や侮辱などを露骨に表現する文化も多少浸透してきた。

自らを誇示するために他者や過去の環境に対してアンチするリリックは文化として間違いなくイケている。まさに〈New black〉でもある。

SnowManの楽曲もリリックやトラックにHip Hop要素は取り入れはするものの、自らの過去を否定したり侮辱したりはしないし、他者を執拗に蹴落とすリリックも含まない。

オリジナルの Flowで 騒ぐこのDNA

Ray, ey 未来へのExpect

Ray, ey 過去へのRespect

メンバー加入の賛否、COVID-19によるアジアツアーの中止、所属事務所の解体など、常に逆境に立たされ続けた。

それでもなお、自分たちの過去や刻まれたDNAに誇りを持っている様は、SnowManならではの「上品さ」を醸成している。

オリジナルに対するこだわり

彼らの新たな方向性についても触れられている。

We’re gonna reach new height
狙うは Cloud9

これまでの彼らであれば、「狙うは…」に続く歌詞は、「higher」とか「TOP」とか「Deeper」とか、それに近い意味を選択していたと思う。

今回選んだのは「Cloud9」
「最高潮!」「とても幸せな気持ち」を示すスラング。

デビュー曲D.Dで「テッペン見せてあげよう」と言い放ったSnowManは、国内の売上や再生数ランキングを次々と塗り替え、早々に焦点を次へ移した。

建国宣言

We build an EMPIRE
Makin’ our own EMPIRE


MVのラスト、バルセロナの広大な採石場で彼らはそう叫ぶ。

あの荒野感がまさに建国前の土地のようで、「We build an EMPIRE」に対する期待感を煽られる。

国が成り立つには、一般的に3つの要素が求められる。
「領土」「主権」そして、 永続的な住民である「国民」

そこに住みたいという国民がいなければ、それは国にはなれない。



SnowManは、2024年11月9日の札幌ドームを皮切りに全国5大ドームツアーを始める。61万5000人を動員予定。しかしながら、SNS上ではライブチケットを取れなかったファンの声も多い。彼らのパフォーマンスを一目見たいファンが全国に溢れている。

「そこに行きたい」と言うファンの力を源に、
これからSnowManは一時代を築いていく。




【番外】作曲家陣紹介

Henrik Nordenback

●既存提供曲

1stアルバム〈Snow Mania S1〉「ADDICTED TO LOVE」(2021)

📍Henrik Nordenback|ポートフォリオサイト
※サイト内〈Featured Content〉にて「ADDICTED TO LOVE」が紹介されています

Didrik Thott

●既存提供曲
「Sugar」(2021)
「YumYumYum〜SpicyGirl〜」(2021)

📍Didrik Thott|ポートフォリオサイト




最後までご覧いただきありがとうございました。
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海瑠-uru-
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