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「おはよう」と言って登校「さようなら」と言って下校することの幸せ

アメリカからお便りします。

生徒に伝えてほしい あたりまえの幸せ

毎朝生徒が学校に来て無事下校するという当たり前の日常。頭を悩ませてくれるあの子もいつも注意ばかりしているこの子も、あなたのお手伝いをしてくれたり気の利く一言をかけてくれるあの子もこの子も、静かにあなたの話を聞いてくれるあの子、いつも黙って黙々とお掃除してくれるあの子も今日も「さようなら」と言って帰ったことでしょう。

 12月中旬、今年もわずかとなってきました。いつもは考えることもないあたりまえ。無事学校から送り出すことのできる幸せ。不幸なことに私たちは悲しい事件がなければ気づくことがありません。

 今目の前の生徒がいる、そしてあなたがいることが尊い。今日も登校して無事下校した後、元気な姿で送り出せる幸せを存分に感じてください。生徒にの伝えてほしい「あなたがここにいる」喜び、感謝。

今生きていることの偶然、幸せ ありがたいでしょうか。英語ならGrace とかBlessingかな。

Sandy Hook Elementary Shootingご存じですか? 

あと少しでクリスマス、冬休みと楽しいことが続く12月。今年はコロナで今までとは違ったクリスマス年末年始となりそうですね。今日は12月15日です。昨日が14日私にとっても忘れることのできない事件がありました。

2012年12月14日コネチカット州のサンディフック小学校に押し入った20歳の青年の銃による殺害で教職員6名、小学1年生20名が犠牲になりました。日本にいたときもアメリカの銃の乱射事件はニュースでは聞いていたものの実感はありませんでした。しかし、アメリカに暮らし、しかも学校現場での惨事で他人事とは思えませんでした。アメリカの報道は犠牲者の顔写真も出ます。名前と顔そしてその人たちのストーリーも報道されます。関係者や目撃者もまるでリポーターのように自分の言葉でしっかり事実や思いを伝えます。

やっとアメリカの生活にも慣れてきてクリスマスでウキウキしていた自分と悲しみに沈むご遺族か関係者の様子は日本で聞くニュースとは異なりました。オバマ大統領も涙を流しながら事件について声明を出しました。

それから8年目 考えたこと

昨日12月14日で8年。あの事件で愛する家族を失ったご遺族や地域の人が「二度と同じことが起こらないよう、銃の暴力で命を失うことないように この悲しみはもう他の人に味わわせたくない」という願いで作ったNPO、Sandy Hook Promiseがあります。13日夜寝る前にメールが来ていました。

「明日は仕事を休んで家族と過ごします。心に空いた穴はいつまでも埋まることがありません。辛くて耐えられないこともあります。私の家族、そして日々銃の犠牲になった命を覚えて、サインしてください。銃の暴力で命が失われることがないよう力を注いている私と共にあなたがいることに感謝しています。」いつもの活動のメールとは違いました。

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改めて事件について調べ、26羽の職員や小さな子供たちを思いながら鶴を折りました。「ご遺族のの人生はこの日を境にどれほど変わったことだろう。悲しみの中で生きることになった日。今日のこの一年に一度の日が苦しく長いだろう。」8年前ニュースを聞いた時のような痛みを感じました。そして今も日本でも世界中でも同じように一瞬で人生を奪われた人がいることに思いを馳せるとまた重苦しい気持ちになります。

だから、今ここにいること、生きていること、たとえどんなに不完全で至らない私でもここにいて、夫も他の人もここに生きていることが尊いこと!どの人も生きているそれだけですばらしい。学校の先生には目の前の生徒にそれを言葉で伝えてほしいと思いました。今日の一日は存分にお互いにここにいることを感謝して楽しい日を過ごしていただきたい、そんな気持ちです。

Origami Project 

 千羽鶴をもってNewtown CTへ 

何かご遺族の慰めになることができないかと思い考えました。一外国人の私、しかもまだ地に足がついていない私、できることって募金しかないでも形になるので政治的でないもの。。。

美しくて折る間の時間は心がこもる、やっぱり「千羽鶴」一人で鶴を折り始めました。アメリカで友人に、それから日本の友人、教え子、同僚、知人、いろんな学校、小中高大学と本当に多くの人が同じ思いで鶴を折ってくれました。初めに声をかけた日本人のお友達がちゃんと形を作った方が良いと勧めてくれたのでOrigami Projectという名前で活動しました。

千羽鶴は48000羽を超え日本から段ボール5箱以上。送り先の窓口となっている機関から「もう贈り物や手紙鶴も多くて鶴は受け取れない。地元でなんとかしてほしい。」と一度は断られました。とにかくやってみる、道は後からあると考える私ですが困りました。何とかせめてご霊前に鶴をお届けできるよう祈り考えました。他に慰めになることは何か新しいことをするのが良いのではと思い日本文化体験を申し出ました。

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それならということで一周忌を前に友人と一緒にNYから電車で2時間、そこからタクシーで30分ほどのNewtownに行き、学校に鶴をお渡しすることができました。悲しみに沈んでいました。We care, We are with you.

このプロジェクトも2013年はクリスマスのイベントに日本文化体験のお茶、折り紙と日本語に加えて20000羽、2014年はサマーキャンプで七夕と七夕飾り、カブト、老人ホームではお茶とそして教会やSandy Hook Promiseへ千羽鶴をもって20000羽、2015年は警察署に2000羽お持ちしました。それ以降はコネチカットに行く時間もなくこの日にはSandy Hook Promiseからのメールで思いだしていました。しかし今年のようにしっかりと振り返り考えたのは数年ぶりです。2年目には「それぞれの人がそれぞれの歩みで前に進んでいる」と言っていました。もう一度行きたいと思っています。今度は祈りの花や癒しの花、繋がる花を一緒に生けたいと思います。

亡くなった子供たちもはもう9年生、中3か高1です。

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