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仕込みNo.008辛口 について

裏ラベルはこちら。

No.008裏ラベル

湖北はみ出し米で仕込んだ辛口はNo.004以来。個人的には一番好きで、スルーっと飲めて、複雑みがあって、香りが上品で、、、説明すると野暮だけど、冷やしても常温でもお燗でも、飽きずに楽しめるどぶろくでした。。
ということで、レシピはそれほど変えずに仕込んでみました。

改めて説明すると、この仕込みは「湖北はみ出し米」という、長浜産無肥料無農薬米の「ふるいから落ちたお米」を使用しております。名付けたのは私です。このはみ出し米は未熟米も含まれており通常食べても美味しくないですし、虫に食べられた後がついてるものもあり(黒い部分)、なかなか利用価値がないものです。しかし、そういうお米って発酵させてみると、分解されやすいからとても溶け方がスムーズで、どぶろくの作り手にとってはとっても嬉しいお米なのです。
どぶろくって、搾らずにお米丸ごと飲むお酒です。ということは、「溶けやすいお米」で作ると、飲んだ時にスルーーーって入ってきて、喉越しも良くなる。だから、「はみ出し米」はどぶろく醸造のためにあるようなお米で、このお米、本当に欲しくて欲しくて仕方ないお米なんですね。(でも農家さんとしては、そういうお米は少ない方が収入が多くなります 笑)

溶けやすいお米だからこそ、どんな農法のお米でも良いということではなくって、「溶けても綺麗な味わいのするお米」であることが必要。溶けて「ガサツなゴワゴワの味」だったら、かえって飲みにくい。ということで、無肥料無農薬のお米の出番です。ほんと、安心して溶かし切ることができるんですよ。ほんの少しの複雑味は味わいを支える程度で。

特に「辛口」はしっかり溶かして、しっかりアルコールを出して、そして、最後に度数調整を加水で行う。水を加えるというのはネガティブに感じている人もいるようですが、そもそもお米のお酒は「水を適度に加えないと仕込めない」ものです。そして最初から水多めで仕込んだら発酵が急進しますし、水を控えめにして仕込んで、最後に調整するのが、お米の酒の「水との付き合いの仕方」です。これは日本の伝統的発酵食品全般に言えますが、お味噌、糠床なども「どの程度の水分状態で仕込み発酵させるのか」が肝心で、お味噌なんか「最初は水控えめで発酵させて、出来上がってから思いっきり水で薄めて調整する」発酵食品です。味噌汁って、そういうものでしょう?
 
ちょっと話題がそれましたが、今回の辛口、良い出来です。このお米は2021年に収穫されたお米なのですが、もう最後の「はみ出し米」ということで絶対に美味しい辛口にしようと気持ち入りました。実は、クエン酸が出る糀を多めに使用していることもあり、切れ味、スピード感が増して口に入った瞬間は「あれ?思ったより辛口ではないかな?」と一瞬だけ感じさせて、シュルルルルっとキレていく。なかなか爽快な感じです。今後の改善点としては、「もっと辛口にしても大丈夫そうだ」という手応えでしょうか。これもまたこれからチャレンジしていきたいと思います。


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