清水湯を愛す

私の家のちかくには2種の源泉がわく銭湯がある。銭湯の料金で温泉に入れてしまうなど、神様からのボーナス感がパナイ。

この銭湯のすごいところは、水湯もまた源泉なのである。湯と水を反復して何回か入るうちに

地球に生まれて良かったー!

と織田裕二なみに心の中で絶叫する自分を発見することになるだろう。

清水湯のすごいところはまだある。ジェットバスの泡が出る位置が微妙にずれているのだ。

一番奥、背中および腰
真ん中、肩甲骨
一番手前、肩

この風呂を作ってしまったオーナーはジェットバスの位置にさえこだわり抜いて作ってあるのである。利用者のハートをわしづかみにする技、見事としか言いようがない。

肩こり腰痛がひどいときはまず、ぬるま湯でじっくり体を温めてからジェットバスへ向かう。いきなりジェットへ向かうのはこりのひどい体には痛みが出る可能性がある。

ここで驚くべきことに、私の動きを読んで水湯と湯を交互に重ならぬように、反復している女がいた。私が水湯に行けば、湯に入り、私が湯に入りに行けば、水湯に入りにいく。

主、できるな? 何者か。

そう思いながら一言も声はかけない。そもそも風呂ほど自分の内側に潜る場所はないのに、友達同士でべちゃくちゃしゃべりながら入るのは邪道だと思っている。

静かに自分の体の全細胞と対話していたい私にはとくによけいな挨拶友達さえ不要である。某女はおそらく私と同じように、風呂を純粋に楽しみたいのだろう。

できる女は背面のほぐしを終えて、腹肉をジェットバスで散らしながらこちらを見ている。

私は水湯の中で、南無三と小さくつぶやき、熱く火照った体を沈めていく。サウナから茹であがった女子たちが眉間に皺を寄せながら次々に水湯に入りにくる。

ああ、ここは、身も心も清める力はガンジス川級なのではないか。

温かな湯で緩んだ筋肉を水で収縮させ、これを繰り返していくうちに、ポンプのように乳酸がすっかり体内から排出していく様はやってみればわかると思うが、実に爽快である。

神は人間にだけこのような地球の愛を知らしめる温泉という福音を授けられた。

清水湯の黒湯は肌にとてもよい。入浴後のしっとり感は高級エステにいくよりコスパがよいと思う。とくにマスクかぶれなどで今の時期は肌トラブルを多く抱えている人も多いと思う。顎から首にかけての汗疹にもかなり効いたようだ。

どうせ都内在住者は遠出もできないのだし、近場の温泉でも、という方にはぜひとも清水湯をオススメしたい。

http://www.shimizuyu.com/sp/