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引越し地獄

 先月長年住んだ文京区から世田谷区に引越しをした。会社から遠くなるし飲み屋からも遠くなるので、一応抵抗したがどこかに移らないとならないなかでギリギリのタイミングで決めて引っ越しをした。前回の引っ越しはAD JAPANのみんなに手伝ってもらって、あまりの荷物の多さに流石のアキラくんたちもウチの引越しと聞くだけで顔が曇るというくらい大変だったので、2回連続でお願いするは気が引けて、引越し業者さんを手配することにした。カミさんが見積もりを取って某有名業者より10万ほど安かったアップルという業者さんに決めた。今はオンラインで見積もりらしく細かなとこまでどうやってわかるのかと思ったが、兎にも角にもダンボールが送られてきて荷造りがスタート。ちなみに荷造りも頼めるようで、そうすると10万くらいUPだそうだ。箱を作りながらこれを機に捨てるものと、区民センターにリサイクルで出すものなどを仕分け、準備は着々と進んでいくはずだった。しかしやっぱり荷物が多い。どこに入っていたのかというくらい色々なものが出てくる。前回の引っ越しから一度も開けていない箱とか、これだけ使わないのだからもう捨ててしまっていいだろうと思って箱を開けると、これ探してたんだよなーっというものが現れる。「一応取っておくか箱」がどんどん増えていく。ヒデアニに二回も寄ってもらいトラック2台分の壮大なゴミをすてるも、嫌な予感が生まれる。ふと20年前の悪夢の引越しを思い出した。

 新婚当初住んでいた小石川から浅草に引越しを決めたのは子供が生まれ少し手狭になったことと、リビング40畳という面白い物件を見つけたからだった。独身時代に後輩と住んでいた家にも荷物が残っていたので2拠点からの引っ越しで、色々と電話をかけると見積もりに数社の営業の人が来てくれた中で、破格に低価格のチャンス引越センターの安井さんという営業さんの会社に決めた。「チャンスで安い。」それが悪夢の始まりだった。最初に断っておくと、チャンスという会社が悪いのかどうかはわからない。だが安井さんが悪いのは確かだと思う。

 引越し当日。リーダと思われるお兄さんが元気に登場。スタッフは+4名の計5名。快調に荷物を運び出してくれて通りのトラックに積み込んでゆく。しかし出発予定の時間になっても出る気配がない。降りていってみると道路に荷物を並べている。どうしたのかと聞くと予定より荷物が多いので、スペース確保のために積み直しているとのこと。荷物テトリスが始まっていた。何回か出し入れしてやっと1便のトラックが完成。浅草に向かう時にはすでに夕方になっていた。もう1箇所あるけど大丈夫なの?と聞いても頑張ります。と言われてこちらはお願いしますとしか言えない。浅草に到着して荷物をどんどん部屋に運び始める。陽はだいぶ傾いている。1便の作業も佳境を迎えた時に衝撃の一言が、「すみません、彼らバイトなんで18時に上げないといけないんですよ。残りは僕が頑張りますから。」え!残りってもう1箇所もこれからでそもそもこれも終わってないじゃん。君一人でどうすんの?安井さんに連絡したら?、そもそも分量は安井さんに言ってあったよ。と伝えるとさらに衝撃な一言が、「安井辞めちゃったんですよね。」はぁ?なんやそれ。黙々と頑張るお兄さん。しょうがないから俺も荷物運びを手伝い始める。二人で荷物を運び終わったのが21時ごろ。そこからもう1箇所に荷物を取りに行く。トラックの助手席に乗り、もはや引越しスタッフ状態。もう一軒の家に着いたのが22時すぎでそこから二人で荷物の積み込みを始める。そこも中々の荷物でなんとか積み終えてのてっぺん。へとへとの状態で車に乗ると疲れ切った妙なハイテンションで話が弾む。「お客さんDJとかやるんですか?」なんでと聞くと、「いや荷物にターンテーブルあったから。僕もDJやってるんですよね。ほんとは今日も回すはずだったんですけど、間に合わないので、、、。」ああそうなんだ大変だったね。「しかも自分、会社のそばに車路駐していてこの時間だと絶対駐禁切られてるんですよ。」って知らんがな!君が大変なのはわかるけど、客の俺の方がもっと大変だから。同情はせんよ。と言いながらなんとなく戦友感出てきて、よっしゃやるかで荷物を運びいれ終了したのが夜中の2時。こんな引越しある?と思いながらも取り合えず一人でも頑張ったお兄さんにお礼を言って引越し終了。これは本当に地獄の引越しだった。翌日チャンスに連絡を入れたらさらに金額を下げてくれたが、とても全員の人件費は出ていない。今もチャンスはあるのだろうかと心配になるレベル。結構引越ししているけどこれが一番のエピソードかもしれない。

 今回の引越し屋さんはみんないい子達で、置き場所とかはもうちょっと考えて置いてほしかったなと、ちょっとはあるけど、なにしろみんな笑顔でとてもよかった。そして引越し後およそ1週間経つけどダンボールの山はほぼ変わりなく、この荷物が片付くのは次の引越しの時なのかもしれない。

 世田谷の皆さんよろしくお願いいたします。


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