生きる事に限界ですか？マインドフルネスの言う❝今❞の正体とは…

「気持ちがふらふらして、心がさまよってますよ」
と突然、そいつは言って来た。

確かにエイジには昨日バイト先でやらかした事の後悔でいっぱいだったし、大学の単位の悩みや体調の心配もあった。
そして何より恋人との明日のデート代を必要としていた。

「大丈夫だよ…明日は来ないから…」

「えっ！？」

「明日は来ないです…」

「何だって！？」

「明日は来ないですって！」

「…てかその前にあんた誰だよ(# ﾟДﾟ)」

「今ですよ」

「今？」

「ええ」

「何しに来たんだよ！」

「だ・か・ら・明日は永遠に来ないって事を伝えに…」

「…んなわけねぇだろう…」

「じゃあ明日っていつの事です？明日が来た事ある？」

「寝たら勝手に明日になるだろう…」

「寝たら今ですよ」

「…」

「今しかないですから…君の目の前にあるのはいつも今！
　今しかないよ…いつも今！今！今！
　明日があるのは思考の中だけだよ」

「…」

「あれ、ひょっとして君、自分に心があると思ってない？」

「…」

「自分には心があって、その心の中は色んな思いが詰まってて、
その思いこそが“自分自身”の証…マイナンバーだと思ってない？」

「…」

「うわぁさすがにそれじゃあメンタル病むわ、
　だってシンドくない？
　まさかそんな悩み苦しんでる可哀そうな自分が
　悲劇の主人公っぽくて好き♡なんて変態ごっこしてないよね(笑)」

「…」

「…」

「あのぅ…非常に残念なお知らせで申し訳ないんだけど(苦笑)
本当はね、そんな思い入れたっぷりの自分なんて、
ただの知識とか色んな情報の寄せ集めでしかなくて、
心なんて本当はないんですよ。
まぁそう思わないと自分がやっていけないないから
今までそうやってきたんだろうけど、本当はないんです。
あるのはただ“今”があるだけ。
物事が次から次へと勝手に展開して行く“今”があるだけで、
それをわざわざ繋げてストーリーだと思わない方がいいかも…
思いは重いからね(笑)
その重みでつぶれちゃわないように…。
それじゃぁね(@^^)/~~~」

そう言うと、“今”は勝手に“今”から消えて行った。