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三角地のおうち

夏なのでちょっと気持ち悪い話。

昔住んでいた家の話

幼少期、三角の土地に建てられた一軒家に住んでいた。
記憶を辿るとざっくりこんな感じ。

当時は親と寝室で寝ていたのだけど、いつも眠るのが怖かった。電気を暗くすると、部屋中を飛び回る虫が見える。
もちろん、実際にいるわけではない。それはほぼ毎日現れて、大きな蝶であったり、蜂の群であったり。今でもうっすら記憶が残っていて、いつも親になだめられてようやく眠っていた。
でも毎日のように続くと慣れてしまうらしく、『寝室に虫が現れる』ことがデフォルトになっていた。

ある日、夢を見た。
大きな地震が起きて、家が潰れてしまう夢。母親が取り残されていて、私は泣きながら家を見ている。
そこで、自分の手に何かが握られていることに気づく。恐る恐る『何か』を見ると、それはガラス蓋の木箱で、中には着物姿で般若の面を付けた人形が入っていた...

そこで私は飛び起きた。右に寝ている父親を見て、さっきまでの出来事が夢であったことを知った。
いつも部屋を飛び回っている『虫』がいないこともあって安心し切った私は、もう一度眠ろうと、母親が寝ている左向きに寝返りを打った。
ふと、母親の足元らへんに何かある。目を凝らして見ると、それは木箱に入った般若の面の人形だった。


正直、今思い返して見ると子供特有の幻覚だったのかなと思う。『虫』は当時の精神の不安定さが生み出したもので、『般若の人形』は恐らく夢に影響されている。そしてその夢も、恐らくは怖い絵本とか番組とか、そこら辺の影響だろう。

ただ、不可解な点がひとつだけあった。
私が小学校に入学して少しした頃、同じ市内の別の家に引っ越した。
寝室で寝ていてふと目を覚ますと、部屋にある物干しスタンドから何かがじっとこっちを見ている。親はぐっすり寝ていたため起こすわけにもいかず、布団を被って見ていないフリをしてやり過ごした。

そしてその日を境に、眠る時に奇妙なものを見ることは無くなった。

今まで見てきたものの原因が「幼い頃の不安定さ」であるのなら、引っ越し後すぐ止まったのはなぜだろう?

三角の土地には何かがある?(※風水上の話です)

ふと、親にその話をしたことがある。子供ならではなのかもね、というたわいのない雑談として。
そうしたら、母がこんなことを言った。
「いや、あそこ多分なんかいる」

話を聞くと、『何かを見る』ということはなかったものの、母は夜になると何かの足音を聞いていたらしい。ぺたぺた、廊下を歩き回る音。
ペットがいなかった時期もあるし、飼い始めた時も寝室で一緒に寝ていた。じゃあその音は何の音だったのだろう。

さらに後から聞いた話、三角の土地は風水的に良くないらしい。『不安定』『不仲を起こしやすい』等影響が出るのだとか。(霊道ができる、といった説もある。)
ただ、いくつかの対策はあり、それを家族も知っていたらしく、いつの間にか角にブロックが置かれて無理やり台形にされていた。

あくまでも風水上の話なので本当かどうかわからないし、ブロックもどこまで効果があったのか不明ではあるが。


後日談(と、祖母最強説)

私たち家族が引っ越してすぐ、祖父母がその家に住んだ。祖父に聞いたところ、今でもたまに変な足音は聞こえるそうだ。

しかし祖母は気にしていないらしい。
それもそのはず、彼女にはこんな逸話がある。
祖母が前に住んでいた家には、古い棚付きのベッドがあった。
夜、そのベッドで横向きに寝ていると、誰かから背中をグッと押されて寝返りを邪魔されるのだと話していた。
しかも1回だけでなく、何回も同じことがあるらしい。
「そういう時、どうするの?」
私が恐る恐る聞くと、祖母は笑いながら言った。
「無理矢理にでも寝返りを打って、押し返すんだよ!」
そうすると力が弱まって、無事寝返りを打てるそうだ。
強い。
ちなみにそのベッド、件の三角地の家にも一緒に持ってきていた。

なんかかんやでみんな無事生活しているのだけど、私の家族はやたら諸問題の発生率が高かった気がする。
(特に事故が多く、車が峠でスリップして逆さになっていたり、衝突事故で廃車にしたり(どちらも無傷ではあった)、祖父は大きな事故を起こしてしばらく入院したこともある。)

三角地のせいなのか、それとも他の因縁のせいか?
今でも謎のままである。


さらに関係ない後日談

新しい家で、ある時ペットの写真を撮った。親のガラケーで私が撮影したのだけど、ペットの背後にあった物干しスタンドに、顔のようなものが2つ写っていた。
私は気味が悪くて親に訴えたのだけど、親には見えていないらしくそのペットの写真を待ち受けにしていた。
あれ、なんだったんだろう。


以上、オチが弱めの不思議なお話でした。
おわり。

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