とある一日
週末は晴れていたら、湖を目指す。お昼ご飯を食べるためだ。ご飯はいつも、途中にあるスーパーで調達。今日はおかずにメンチカツと豚の生姜焼きが入っている弁当にした。それから飲み物とおやつも買って、さあ、出発だ。
ご飯は、いつもお気に入りの場所で食べている。ちゃぷちゃぷと湖面が揺れる音が聞こえるくらいのほとり。ここからは大きな橋も見えて気持ちが良いのだ。折り畳みの椅子を広げ、弁当を頬張る。湖で食べるご飯はいつだって美味い。
味の濃い生姜焼きはご飯が進むし、メンチカツはサクサク。肉汁もじゅわっと広がる。コシヒカリ使用とわざわざ弁当に貼ってあった通り、ご飯も美味い。生姜焼き、ご飯。メンチカツ、ご飯。ご飯、生姜焼きと繰り返し口に運び、あっという間に弁当を平らげた。
この場所では、いつもおじさん達もくつろいでいる。彼らは湖でサーフィンしているのだ。
初めて来た時、赤やオレンジの小さな帆が浮かんでいるのに驚いた。あれは、ウインドサーフィンにしか見えない。だがここは海ではない。似ている他のものだろうと思い調べたら、やはりウインドサーフィンだった。他にもウイングフォイルという大きな凧みたいなのを持って水上を滑るおじさんもいる。
これらはマリンスポーツ。マリンと言うからには、海でしかできないと思い込んでいた。サーフィンが湖でも出来るとは知らなかったのだ。
大人になっても知らないことは、まだまだたくさんある。何でも知っている気でいたので恥ずかしくもあったが、それよりも新しい知見が得られて嬉しかった。
おじさん達を見ていると、緩いコミュニティーが出来ていると分かる。週末湖で会うだけの関係だろうか。サーフィンの調子を聞いたり、他の人の近況を話したりと長々と立ち話している。どうやらおしゃべりも大好きなようだ。
サーフィンの帆のようなものは想像よりもずっと大きくて、時々バン! と大きな音を鳴らす。しかし今日はバタン、バタン、ジャボン! ともっと大きな音もした。まだあまり慣れていないおじさんがいるようだ。そんな音を聞きながら、食後のカフェオレを飲む。
湖に吹く風は強くて、ちょっと冷たい。サーフィン日和だろうか。だけと穏やかに広がる日差しが足元を温めてくれる。私はあともう少し、ここで日向ぼっこをしながら過ごそうと思う。