メルストの『絵柄』について
この記事は「Happy Elements カカリアスタジオ デザイナーアドベントカレンダー2020」の1日目の記事です
はじめまして。
メルクストーリアチームでしがないイラストレーターをしている者です。
今回は 『コンテンツの絵柄』 についての研究してみました。
というのも、最近メルストでは他作品様とコラボさせていただく機会が多く。様々なキャラクターをメルスト世界に降臨させるための重要な要素が 『絵柄』 なのです。
当たり前ですが、コンテンツの壁とは非常に高く分厚いもの…
いくら同じキャラといえど、 "そのコンテンツらしく" 作風(『絵柄』)を合わせ、かつそのキャラらしく魅力的に描くことが大切です。
頭では分かっていてもその実行の難しい事…
今回は、弊社アプリ『あんさんぶるガールズ!』とのコラボクリエイティブを例として、絵柄の比較を行おうと思います。
頭身(ボディーバランス)
頭身(ボディーバランス)は、キャラクターの印象を左右する大切なポイントです。
こちらは前回のコラボで採用されたこよいちゃん。
左が『あんガル!』右が『メルスト』のイラストです。
その差は一目瞭然ですが、ざっくりと数えてみると
あんガルのこよい は
・4.8 頭身
・胴体は 1.7 頭身分
・顔は頭部の 70%
・そのうち 目は 15%
メルストのこよい は
・4.5 頭身
・胴体は 1.2 頭身分
・顔は頭部の 70%
・そのうち 目は 40%
だいたいこんな感じです。
頭身自体はそんなに大きく変わりませんが、胴の大きさや目の大きさなどは差が顕著です。
その他にも、メルストは「上半身が華奢(肩幅が狭い)で腰回りが大きい・顎が小さい・後頭部が大きい(頭蓋骨上部が大きい)・耳の位置が低い・手足が大きい」などなどの特徴が見られます。
その結果、あんガルの萌え系美少女アニメっぽさに対して、メルストは全体的に幼い印象になり、リアリティ< デフォルメ的な可愛らしさを感じます。
この印象を守ることがその『絵柄』への落とし込みの第一歩です。
線画
線画です。線画はキャラの輪郭やモチーフのシルエットを形取りなぞるだけ…。
単純に聞こえますが、 線の強弱・太さ・柔らかさ・書き込み量 この情報だけでかなり絵柄が変わってきます。
ひとまずまた並べてみましょう。
あんガルのこよい は
・ほぼ全ての線が同じ太さ (4px)
・強弱が無い
・線による書き込みは必要最低限
メルストのこよい は
・線の太さが違う (2~8px)
・ペンの筆圧や液だまりがよく分かる
・服のシワや髪の流れなど 書き込みがある
かなり違います。これが線画の『絵柄』です。
あんガルは一定の太さで平坦、情報量も少ないのでアニメらしい印象になっているのに対して、メルストは線の強弱やインクっぽい表現を活かしてアナログ感のある柔らかい印象に仕上がっています。
余談ですが…
『線画で絵柄を真似する』という行為について、上記で説明したような線の特徴やバランスを踏襲すればある程度まで似ます。
ここからさらに瓜二つまで持っていくには、「とにかく拡大して見る!本当に些細な部分まで真似をする!」という変態的な作業が必要になります。
同じものを描いても線画には人の癖がとても出ます。
形を似せるだけでなく、線の癖を真似る…そんな細かい所も!?というところまでトコトン突き詰める…すなわち 『癖を模写する』 まで出来ればきっとその絵柄はあなたのもの…
塗り
塗りも世界観やクリエイティブのテイストを決めるとても重要な工程です。
『あんガル』はアニメ塗り であるのに対して 『メルスト』はアニメ塗りベースにもう少し塗り込みを厚く した感じです。
筆の種類とぼかし
あんガルはアニメ塗りなので不透明度100%の【 Gペン (SAIなら鉛筆) 】で影になる所を埋めるだけで良いのですが、
その分影がパキッとした印象になり厚みが出ない&質感を出しにくいです。
それに対してメルストでは、離れてみるとアニメ塗りっぽいこよいも近づくと何度も塗りこんでいて色も複数使われています。
あんガルでは影を平坦に1~3色(1~3影)できっちり塗分けているのに対し、メルストは細かい濃淡や筆のタッチでディティールを表現しています。
「ペンの不透明度を下げ、水彩のように塗り込みの程度をコントロールする」 過程が大きな違いですね。
さらにメルストではもっと塗り方が多様化されているので、ぼかしや筆の使い分けもたくさん行われています。
(↑クリスタはデフォルト設定でも筆やぼかしツールが豊富です)
構図
構図もコンテンツの方向性を決める重要な要素ですが、
そもそもとして 『あんガル』は「カード」 であるのに対して『メルスト』は「ユニット」 です。
あんガルはスチルのようなワンシーンを切り取った構図ですが、メルストは立体フィギュアのようなヴィネット表現が主になります。
カード構図
・キャラの全身が収まらなくても良い
・高レアでもキャラは地面に立っている (浮遊構図もあるが特殊)
・背景は(比較的)現実パースに準拠
ヴィネット表現
・キャラはキャンバスからはみ出てはいけない。
・ステージのパースは一定でなくても良い 誇張されたハイパーパースも可
・モチーフのスケールも極端に誇張される
カード構図に比べて、ヴィネット表現は現実の見え方に捕らわれず絵としての面白さ重視で構成されます。
ヴィネット表現は自由度が高い分、シチュエーションのチョイスやキャラと背景の見せ方次第でそのキャラらしさ・世界観を表現できます。
さいごに
以上の要素を「絵柄の枠」に収めていくと、キャラクターをその絵柄に落とし込むことができます。非常に基礎的な内容でしたが、口で言うのと実際に作るのでは全然違って難しいです。
これからも日々壁にぶち当たりながら精進していきます…!
ここまで読んでくださりありがとうございました!
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