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『簠簋内伝金烏玉兎集』の感想

以前読みました『ヒルコ』の本に出ていた『簠簋内伝金烏玉兎集(ほきないでんきんうぎょくとしゅう)』を読みたいと思って検索したところ、『日本古典偽書叢刊 第三巻』に収録されているとのことでした。

偽書でした。

とはいえ、逆に興味が出てきたので、読んでみました。

古文なので、めっちゃ時間がかかりましたが、『簠簋内伝金烏玉兎集』については、物語要素もあり、その部分は楽しめました。


安倍晴明作と思われていた『簠簋内伝金烏玉兎集』ですが、調査の結果安倍晴明が作者ではないということで、偽書認定がされたそうです。

昔、中国に留学した阿倍仲麻呂の霊の助けにより、吉備真備が大活躍するという内容でした。そのほかは、ちょっとよくわからない部分も多かったです。


吉備真備が重要な人物であり、吉備真備の系譜があるんだよというために作られた物語なのかもしれません。


偽書は、職人の世界に多く存在するそうです。

技術とは異なる価値をつけるために偽書を作る必要があったのです。

当時のあらゆる人の立場から、さらに文化を深める一助になるので、偽書を研究することは全く無駄なことではありません。


現代でも、あらゆる資格や検定があり、それを取得することでその技術や知識を持っていることになります。ところが、その資格や検定を発行しているところの権威があいまいになった瞬間、たちまち検定証などの証明書は「偽書」になってしまうと深沢徹先生はおっしゃいます。


確かに、今から1000年後の日本人からすれば、あらゆるものは偽書になってしまうかもしれないと妄想しました。日本人いたら良いな。そんで、ある程度の文化水準があって、昔のこととか研究できる余力とかもあるとめっちゃ面白いんやろうなぁ。


平成からこっち、未来人はこの時代をどのようにとらえるのか、妄想がはかどります。


古文、意外と読めた!

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