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ダディ (ショート)


             (本文約750字)


アンナのダディ(父)は温厚だった。

海の神・地震の神ポセイドン(母)の地雷を踏まぬよう。

慎重に。

時に海の神に甘えてきた。

母は、海の女神アムピトリーデと言いたいところだか、遥かに強いポセイドンとしか言いようがない。

そんな姿を見てきたアンナ。

完全にファザコンだ。

大人になった娘は、男性はこんなもんだと神話が出来上がってる。


つい、男を甘い蜜で甘やかす。




ギリシャ神話のメリッサ
全知全能の存在で神々の王であるゼウスが
子どもの時に、メリッセウスという蜜蜂王の
娘「メリッサ」に蜜蜂を与えられて育ったと
いうストーリーがある。
レモンバームに宿る小妖精の名がメリッサと
いう異名がつけられた。
(※引用文献 生活の木ライブラリー)


大人になると、まるで、メリッサの様なアンナ…




アンナは、地雷でなく、境界線を間違わない様にしなくてはならない。


男を甘やかすと育てるのとは違う。
境界線を間違えないように。


静かな年数が経った。


ダディ…


ありがとう。あなたのおかげよ。





育て守るのは、レディーの方なんでしょう。


だってレディーファーストって
《夫人の個性を認めて尊敬する》よね。
ダディ…


教えてくれてありがとう。
そう言うつもりでは無かったのに。
気づけばわたしもポセイドンに近づいてる。


気をつけるね。
男を津波や地震でコントロールしないように。
メリッサとポセイドンを行き来しながら
自分をコントロールするわ。


言いながら、「コントロールは外せないのよね。」
と、ダディの写真みて微笑んだ。


ありがとう。ダディ…あなたを見てきたおかげよ。


神話は、その家庭で違った形で知らず知らずの
うちに継承されていくかも知れないとアンナは思った。




小さな頃は神話は本で読んだ通りだと信じてた。


          FIN

             フィクションです


                  サブリナ