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人生でいちばん忙しい春

今年の春は花見をしただろうか?
春休み、あったっけかな?
気がついたらゴールデンウィークも終わってしまった!
なんでこんなことに?

この春、我が家には確かに春はやってきた。
息子2人が受験を乗り越え、
それぞれ希望の大学、高校に進学を決めた。
そして、我が家は長年の賃貸暮らしを卒業し、
晴れて新居を購入、引っ越しを済ませた。


子らの受験勉強中ではあったが、
4月の新居への引っ越しを控え、
1年以上前から色々な準備、契約などを
我々夫婦は密かに進めてきた。
周りには
「ダブル受験生で大変な一家ですぅ」
というカモフラージュをしつつも、
「新居を購入するプロジェクト」で
内心はウキウキ、ワクワクが止まらなかった私たち。
4月からはワンランク上の生活をしよう、
準備は大変だし金はかかるけど、
新生活を楽しもう!とテンションは高め。


さあ、引き渡しまであと2ヶ月、
となった今年の初め。

主人にまさかの転勤の話。

…新居買った途端に転勤、は
あるあるなんだけどさ…。
いや、ほんとにあるんだな‼︎
っていうショック。

そして、気づいてしまった。

ってことは、単身赴任の準備と
新居引越しの準備、
進学の準備、
全部同時進行なのか⁉︎

主人は仕事で忙しいし、
子供達も合格発表まだだし、
え、
荷造り、1人ですんの?
どっちも?
え、ヤバくない?

3月に入ってようやく子らの進路が確定すると、
入学金などの振込。
入学の手続きや説明会への出席。
スーツや制服を注文して入学式の準備。
高校への提出書類の作成。
その他諸々必要なものの購入や不要な物の処分。

あれよあれよという間に4月になり、
入学式に出席。
次の日には単身赴任の荷物の発送。
翌日、主人が赴任先へ出発。

ひと息つく暇もなく
引っ越し荷物の本格的な荷造り。
粗大ゴミなど不用品の排出。
ひたすらモノと向き合う毎日。

子供達が進学するタイミングの春休みといえば、
部活動や課題などの制限がなく、
言ってみれば
「人生で唯一のフリー長期休暇」
であり、少しゆっくり国内や海外に
旅行をしたりすることができたはず。
実際、中学校、小学校の卒業が重なった前回は、コロナ禍ではあったが
修学旅行に行けなかった長男のために
3泊4日の関西旅行を決行した。

あの時は制限も多く、
旅行に行くというのが
何となく世間に後ろめたい状況だった。

今なら、堂々と旅ができる。
しかし、引っ越さなければならない。
旅をしている場合ではない。

子らは、要らなくなった受験用の参考書や
学用品の処分をさっさと終わらせて、
友達と色々なところへ出掛ける約束をしている。

私は、主人の置いて行った荷物の多さに
愕然としながら、
毎日大量のモノと向き合い、
ひたすら要る、要らないの判断を下す日々。
何度も心が折れそうになった。
その度に、新居での優雅な生活を思い描き、
何とか自分を奮い立たせて2週間。

旧宅のモノたちは段ボールの山と化し、
新居への引っ越しを無事、完了させた。

大量の段ボール箱に囲まれ、
新居での初夜は、
寝る場所もなく途方に暮れた。
「前のお家に帰りたい」
と子供達の前で弱音を吐いた。

すでに新学期が始まっており
子らはそれぞれ学校へ通いつつの引越しで
きっと落ちつかない思いをしていただろうに、
心配をかけてしまったと反省。

翌日からまた1人、
ひたすら箱の中に詰めたモノたちと
ふたたび向き合った。
あんなに捨てたはずなのに、
まだまだ出てくる不用品。
段ボール箱を開けては
もう要らないモノたちをゴミ袋に詰め
排出し、必要なものだけを収納していく日々。
こんな大変な思いをして、
ゴミ運んできたのか?
もうやだ、買い物怖い。
ゴミになるようなもの、絶対買わない!
と心に誓った。

あぁ、こういうことか断捨離って。
と、やっと実感できた。
貴重な経験をすることができた。
引越しがなかったら、要らないものに気づいていながら、処分する機会には恵まれなかったかもしれない。
でも、もう2度としたくないな、引越し。

そんなわけで、花見をすることもなく
旅行に行くこともできなかった春は、
ゴミに塗れて過ぎて行ったのだ。

新居の大きな窓からは
新緑の緑と青い空が望める。
私達がこだわった
陽当たりと風通しの良い家。
平日の昼間、1人でいると
わけもなく涙が出てきて止まらない。

続きは、この引越しの裏側にある
もう一つのストーリーで。


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