フォルダリターンはなぜ害悪か2

前の記事で、ホワイト版でBLACK版に勝つのは無理、という根拠でフォルダリターンの無法振りを説明したが、では、BLACK版同士で戦えば面白い、ないしはバランスが取れているという可能性について考える。

初めに言っておくと、面白いと思うかどうかの基準は人によるので、私が面白くないと思うものを面白いと思う人がいることは理解している。
そういう人はこんな記事は読まずに素直に楽しんだら良いと思う。

本題だが、結論から言うとバランスは取れている。
当たり前だが、お互い同じ条件で戦うのだからフェアではある。
ただ、バランスが取れている=バランスが良いではないし、もっというとバランスが良い=面白いではない。

一般的に、BLACK対BLACKの対戦環境では
・防御は薄いが1発当たれば勝ちのハメ型
・1発も食らわずに逃げ続けて毒で判定勝ちを狙う逃げ型
・防御を完全に捨てて一撃必殺に賭けるメタ逃げ型
の3つの型があって、逃げはハメに強く、メタ逃げは逃げに強く、ハメはメタ逃げに強いと言われている。
個人的にも概ねそんな感じだと思う。
最強の型がなく、所謂「メタが回っている」という状態だ。
(自分はこの対戦環境を心底くだらないと思っているので詳細は省く)

前の記事で、逃げるBLACK版の守りを突破するのは無理だという話を書いたが、攻撃する側もチップが無限に使えるのであれば話は変わってくる。

ただ、メタが回っている=ゲームバランスが良いという訳ではない。
格ゲーで言ったらキャラが沢山いるのに3キャラしか使われていないような状態だ。
戦い方は無数にあるのに、3つの型しか現実的に勝つことができない時点でゲームバランスが良いわけがない。
メタが回っているだけなら、世紀末ゲーのエグゼ2だって回っている。

ではなぜ型が3つしか存在しないのか?
それは、フォルダリターンがある事で、機能を失ってしまっている要素が実に多いというのが理由だ。
例えば…

ブラザースタイル
ナビチップを沢山使える事が特徴のブラザースタイルだが、フォルダリターンを使えばナビチップなんて無限に使えるので、ブラザースタイルは存在する価値がない。

ガッツスタイル
防御を固めつつ、相手のチップが尽き始めた頃を見計らって反転攻勢に出るのが得意な持久戦向きのスタイルだが、フォルダリターンでチップを無限に使える相手に対しては無力。

グランドスタイル
時間はかかるが、チップを使わずに相手エリアのパネルを破壊できるので、ステージ系のチップをフォルダに入れなくても不利を背負わずに済むのが強みだが、フォルダリターンでパネルを破壊するペースよりも速いペースでパネルを無限に書き換えられるので無力。

シャドースタイル
チャージショットでインビジブルを無制限に使えるが、フォルダリターンがあれば本物のインビジブルを無限に使えるので無価値。

と、スタイルだけでも4つものスタイルがフォルダリターンによって殺されている。
まぁ、ホワイト対ホワイトでも機能しないくらい弱いスタイルもある気がするけど…。

ギガチップに関しても、折角選択肢があるのに、フォルダリターン1択になってしまっている。
正確にはフォルダリターンと相性の良いダークネスオーラとの2枚持ちが鉄板だ。
他に使われるとしたらせいぜいフォルテGSか。
それ以外のギガチップは全部死んでいる。

また、強力なチップを無限に使える事によって、本来そこまでガッツリ対策しなくても良いチップに対しても、しっかりとした対策が必要になってしまい、フォルダ構築に強い制限がかかってしまっているのも害悪である理由の一つだ。

例えば、ダークネスオーラは持続時間が45秒なので、ヘビーゲージ環境であれば3ターンで自然に消える。
フォルダリターンさえなければ、ダークネスオーラを剥がせるチップを持ち合わせていなかったとしても、しばらく耐えていれば消えるので、必ずしも対策が必須というチップではない。
だが、フォルダリターンありの環境ではほとんど常にダークネスオーラを維持されてしまうので、ダークネスオーラを剥がせるチップをフォルダにそれなりに潤沢に入れなければ、一切攻撃を与えられずに終わってしまう。
というより、ダークネスオーラを剥がしても次のターンには再度張られる可能性が全然あるので、ダークネスオーラを剥がしたターンでそのまま畳み掛けないとダメージを与えられない可能性が高い。
つまり、ダークネスオーラを剥がせるチップと同じコードのチップでしか安定してダメージを与えられないということだ。
ダークネスオーラを剥がせるチップはクサムラ+マグナムや、クサムラ+エレメントソニック、スーパーキタカゼなどだが、基本的にかなり少なく、それらのチップが存在しないコードでは、基本的に勝つのが難しい。
(それらのコードに縛られずに勝てるからA逃げは強いわけだが)
コードXなどの特異なカードはあれど、26コードもあるのに、現実的に使って勝ち目を見出せるコードは少ない。多くのコードがフォルダリターンによって殺されてしまっている。

ジェラシーもヤバい。
チップを5枚選んでいるときに使われると500ダメージ。メガクラスチップが叩き出して良い火力ではない。
しかも、相手に当たらなくても相手が選んでいたチップを全て破壊する。これ単体でも意味がわからないクソチップだ。
それでも、1試合に1回しか使われない事がわかっていれば、まだ駆け引きは成立するし、最悪食らったとしても別に戦えない事はない。
まぁ、ジェラシーも殿堂入りチップだと思っているので別の記事でまとめる。

このチップ破壊効果を防げるのはカゲブンシン、カワリミ、オウエンカ無敵くらいのもので、オウエンカは安定せず、カワリミは発動時に隙ができるので、実質カゲブンシンでの対策が必須になる。
対策していないと、最悪フォルダリターンとジェラシーだけで完封負けすることも起こりうる。
なので、フォルダにカゲブンシン4枚積みはほぼ確定と言って良い。
フォルダに入れなければいけないチップが多いほど、フォルダの自由度が下がる。
自分はフォルダ構築の自由度を下げる要素は全て面白くないと思っている。

プラントマンやキラーズアイもヤバい。
いわゆるハメと呼ばれる戦法で用いられるチップ全般と言っても良い。
ウイルスチップのキラーズアイで引けるキラーズアイSPの攻撃力がぶっ壊れてはいるが、実はハメに用いられるチップの攻撃力自体はそこまで高くない物が多く、基本的にはナビチップはフォルダに5枚程度しか入れられないので、ナビチップだけであれば全部被弾してもそこまで痛くもない。
なので、フォルダリターンさえ無ければ、ナビカスやエキストラコードでHPを盛る事でハメに対してはある程度対策になる。
HPを盛る構築は、ハメに特化した対策というわけではなく、どんな相手でも有効に機能しやすい構築なので、構築の自由度を下げているとはあまり思わない。
また、フォルダリターンがない環境でハメようと思った場合、ナビチップの火力だけでは倒しきれないし、ハメも継続できないので、キラーセンサーやキラーズアイに頼らざるを得ないが、どちらもパネルスチール2回で完封できるので、一度でもハメが途切れると戦略が破綻する可能性が高い。
しかし、フォルダリターンがあると、HPで受け切って耐えるのも、ハメが途切れた隙に反撃することも不可能になる。
すると、1発でも食らった時点で死ぬまでハメられてしまうため、1発も食らわない事を前提としたフォルダ構築が必須になってしまう。

対戦開始直後の1ターン目はどうしても連打で先にチップを使ったほうが有利な側面があり、理不尽感がつきまとう。
結果、戦闘開始時に高い確率で10秒無敵かバリア100が付くため、開幕連打勝負を拒絶しやすいバグスタイルを使う事が必須になってしまう。
ブラザースタイルが死んでるとかグランドスタイルが死んでるとか述べたが、そもそもバグスタイル以外全部死んでいるのだ。
バグスタイル以外で開幕の連打勝負を拒否したければシールドスタイルで開幕バリアにすがるか、ビートサポートでプラントマンを破壊するかくらいしか対策がない。
3のビートサポートはちゃんと大きいので、組み込むのにかなりのリスクを伴う。あまりにもバグスタイルを使わない事で背負う不利が大きい。
(ビートサポートが小さいとそれはそれで面白くないので、3のビートサポートのサイズは妥当だと思っている)

更に、バグスタイル1強という環境は別の問題を引き起こす。
バグスタイルは高い確率で勝手に上下に移動するバグを引き起こす。
勝手に移動バグはかなり厄介なバグで、軸を合わせないと当たらないタイプのチップは、基本的に狙って当てる事ができなくなると言っても差し支えない。(上級者は、こちらに勝手に移動バグが発生していることをすぐに見抜いてくる)
つまり、狙わなくても当たるような広範囲を攻撃できるチップか、相手を自動的に狙ってくれるチップ以外全部死ぬ。フラッシュマンやプラントマンが強いのは全体攻撃だから、という側面もある。

細かく見ると他にも色々あるが、キリがないのでこの辺で。
要するに、フォルダリターンがある事でエグゼ3の対戦環境から多様性が大幅に失われてしまっていふ事が、BLACK対BLACKに限った場合でもフォルダリターンが害悪であることの根拠だ。

もちろん、多様性なんか必要とせず、ハメも逃げもなんでもありで、どんなに世紀末なバランスでも与えられた環境で勝利することに面白さを見出せる、所謂勝つ事が好きな人もいるし、そういう人なら楽しめると思う。

個人的にはハメは完遂の難しさと、完遂できなかった時のリスクがちゃんと存在していれば許容できるが、逃げに関しては1ミリも面白くないと思っている。エグゼシリーズでは3に限らず逃げが最強の一角として存在している作品が少なくないが、全く面白くない。
対戦ゲームは積極的に動いて攻めた方が評価されるバランスが健全だと考えている。

また、フォルダリターンが存在することによって、逃げとハメが強いバランスになってしまっていることは、別の問題も生んでいる。
逃げにせよハメにせよ、やられている方にはやる事がなくて退屈なのだ。
やっている方は楽しいのかもしれないが、やられている側が楽しくなく、不条理に感じるゲームは、あっという間にプレイヤーがいなくなる。
フォルダリターンは過疎を産んでいる。
あるいはこれがフォルダリターンが害悪である最大の要因かもしれない。

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