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#34 公私をしっかり線引きしよう

 働いていると、職場で職種問わず、友人、恋人、夫婦、ときには親子など、親しい人ができるでしょう。

 どんな関係を築こうが、個々の自由です。でも、仕事にその関係を持ち込むことに、周囲はいい印象を持ちませんし、業務に支障をきたすことがあります。

 職場での公私の線引きについて、まとめてみました。

1.なぜ線引きが必要なのか

 職場は、仕事をして報酬を得る場所なので、きちんと仕事をすることで信頼され、評価されます。

 公私混同すると、仕事にも同僚との関係にも影響します。影響とは、周りの人が気をつかう、指導がきちんとできない、伝達経路が崩れ業務に支障をきたす、ということです。
 また、親しいが故の行為が、あなたのみならず、相手の評価も下げてしまうことになりかねません。 

 余談ですが、もし、「周りからの評価なんてどうでもいい、自分は自分の好きなように振舞うんだ」と思う人は、働くことについて再考したほうがいいでしょう。
 評価されないということは、出世するとか、しないではありません。人として、いち社会人としての問題ですし、最終的に、あなたが職場に居づらくなるだけです。

2.恋愛関係・婚姻関係

  恋人、夫婦、不倫カップルなどの関係性です。

 この関係で一番気をつけることは、以下の2点です。

  ・仕事に対する姿勢
  ・業務時間中のお互いへの態度

 ここをきちっとやっていれば、周囲はそこまで関係性にこだわりません。

 ⅰ.仕事に対する姿勢

 これは、きちんと仕事をするつもりがあるか、それを実行できるか、ということです。私生活で何があったとしても、職場で求められるレベルの業務をしなくてもいい理由にはなりません。
 ラブラブなときも、落ち込んでるときも、大きなムラなく一定レベルの仕事の質を保ちましょう。

 これ、当たり前だと思うかもしれませんが、その認識のない方もいます。信じられないようなインシデントをした理由が「気持ちが凹んでるから」「仕事へのモチベーションがなくて」というスタッフがいました。仕事に関する精神的なダメージによるものかと思ったら、実は、彼と喧嘩したのが原因だったという人もいます。

 ⅱ.業務時間中のお互いへの態度 

 業務中は、恋人ではなく、一緒に働くメンバー同士という関係でいられるか、ということです。
 呼び方やお互いの口調、態度など、あらゆる振る舞いに、仲がいい以上の親密度があらわになっていないか、相手の立場を利用していないかなどです。

振る舞い
 ふたりのときに、どんなに甘い呼び方でイチャイチャしていても勝手ですが、職場でもそういう態度をとっていると、周りが気を使いますし、嫌悪する人も少なくありません。
 その嫌悪を、「嫉妬」と考える方もいます。でもこれ、嫉妬ではなく、社会人としてどうなのか、と言うことに派生した嫌悪感なんです。ま、本当に嫉妬の人もいるかもしれませんが。

相手の立場を利用する
 また、相手が上司や、権力がある立場だったりすると、それを傘にして、自分の思いを通そうとする方がいます。
 このような人は、少しでも嫌なことがあると、権力のある恋人に頼ろうとしたり、昇進をお願いするなど、私生活での関係をそのまま職場に持ち込みます。

 このような一部の親しい関係者が私的な理由で優遇されることが横行すると、他のスタッフは、「どんなに頑張っても、認めるつもりないんでしょ?やってらんない」と、仕事に対する意欲も、帰属意識も薄れてしまいます。

 また、その権力のある恋人からの叱責などを逃れるため、周囲のスタッフは、当人への業務上の指導などを躊躇したり、関わらないようにと距離を置くようになります。そうすると、当人への教育はされず、成長も止まります。
 もしその権力者と別れたら、あぐらをかいていた分、風当たりは強くなります。

 ⅲ.私の体験

 私は、全ての関係の方達と一緒に働いた経験があります。見ていると、それぞれの関係性に特徴がありました。ただその方達は、どの関係の方たちも、基本的に、仕事に誇りを持っている方達でしたので、仕事内容には影響はありませんでした。
 ただ、態度としては、不倫カップルは、直接「付き合っています(不倫してます)」とは公言しませんが、業務時間中でも他のスタッフの前でイチャイチャすることも多く、周りが気を遣ってその場を去るといったことが何度もありました。
 一方で、恋人(のちに結婚)や、夫婦は、きちんと線引きをしていて、職場では別姓を使っていて、ふたりの距離感が普通に他職種間の関係に見えたので、夫婦と気づかないこともあるくらいでした。

3.友人・飲み友達

 この関係で、問題になるのは、伝達経路が崩れるということです。

 つまり、親しいが故に、本来話を通すべき、リーダーや上司を飛び越えてスタッフ同士でやりとりをしてしまうということです。

 ⅰ.看護師

 例えば、リーダーに報告せず、メンバー同士で判断してしまい、それが原因で何かが起こったとき、リーダーが把握していない、ということが起こります。
 リーダーに報告していたら、事前に防ぐことができた可能性があっても、報告されなければ、知る由もありません。

 同じようなことは、スタッフと上司にも言えます。現場で起こった問題をスタッフだけで処理して、その後上司に報告しなければ、問題があったことさえ知りません。ですから、その問題が後々問題になって、対応を迫られたとき、とても困ります。

 看護師同士の友人関係は、タッグを組んで誰かをいじめるなどしなければ、業務の協力につながることが多いです。ですから、その強みを活かしつつ、きちんと伝達経路を守って、トラブルを防いでいきましょう。

 ⅱ.他部署スタッフ

 最近は、みんなで飲み会をする機会はないでしょうが、仕事中に、何かがきっかけで親しくなることはあります。
 大規模な施設の場合は、教育体制や各部署の組織がきちんと成立しているので、部署間のやりとりをいちスタッフが勝手に行うということはないでしょう。
 しかし、小規模だとアットホームな分、それぞれの組織や人間関係が曖昧になり、スタッフ同士のやりとりが問題になることがあります。

 職種を超えての伝達は、施設によって異なるかもしれませんが、本来のルールに則って行いましょう。

 特に、他職種が関わる業務変更に関しては、必ず責任者同士で話をし、決定しなくてはいけません。もし上司から、権限を与えられているスタッフが話し合うなら問題はありませんが、そうでない場合、必ずトラブルを招きます。

 それぞれの部署で、経験を積んで、それなりの存在感を持つようになると、勝手もわかりますし、自信も持ちます。そういう者同士が、雑談の延長で物事を決めて、上司に報告しないままスタッフに伝えて、やり方を変えることがあります。
 現場のスタッフ同士で話して何がいけないのか、と疑問に思うかもしれません。その理由は、責任者が入っていないということです。

 現場には現場の事情や希望があるのはもちろんです。同じように責任者には、病院の経営や事情を考慮しないといけないことがありますし、スタッフの知らないところで、実は話を進めているということも大いにあります。
 ですから、良かれと思ってしたことが、逆に進めていた話を流してしまう、ということもあるのです。

 積極的に動かない、趣旨が伝わらない、上の顔を伺ってばかりの上司がいるのも事実です。
 その時は、自分に権限をもらえるように上司に直談判してみましょう。
 もし明らかに仕事において問題のある上司でしたら、他部署もそれを承知していることもあるので、最終手段として、「私が話します」と宣言して話をつけて事後報告する手もありますが、その上司がどう反応するかは未知数なので、あまりお勧めはしません。

 いずれにしても、話す相手はその部署の責任者、もしくは権限を与えられた人です。「スタッフの〇〇さんと話して決めました」と、「責任者の△△さんと話して決めました」どちらが信憑性があるでしょうか。もちろん、後者ですよね。
 権限のない者同士が話すと、覆されることも多く、残念ながら徒労に終わることが多いです。 

 ⅲ.私の体験 

 手術を縦(時間差)でやるため、次の患者さんが手術室へ出棟するタイミングの目処がついたら、手術室のリーダーから病棟リーダーに連絡が来て、出棟時間が伝えられるシステムになっていました。

 まだリーダーに連絡が来ていない時点で、次の手術患者の受け持ち看護師が「前投薬(出棟前に飲む薬)を飲ませます」といって患者さんのところに行こうとしたため、リーダーがまだ連絡来てないことを伝えると、「さっき聞いたので」という返答でした。
 よくよく確認すると、休憩時間に喫煙所(当時はあった)で一緒になった手術室のスタッフ(まだ入職して間も無く、リーダーでもない)から「◯時くらいになると思う」と言われ、その時間になったため、出棟の準備を始めようとしていたのです。
 その後、リーダーが慌てて手術室リーダーに確認し、まだその時間ではないことが判明した、ということがありました。
 これは、手術に関することで話が大きくなりましたが、本来とは異なるルートで入手した情報は、あまり意味がなく、トラブルの原因になる典型的な例です。

 もう一つの例として、喫煙所で他部署のスタッフ同士が、雑談の延長で検査や治療の搬送方法などについて話をしたところ、他部署のスタッフに断られてしまい、その後正式に話す機会がなくなってしまった、ということもありました。

4.親子

 同じ施設で親子で働くことは少なくても、同じ系列の施設で働くということは少なくありません。

 系列で働くこと自体に問題があるわけではありません。
 たとえコネ入職であったとしても、きちんと仕事をすれば問題はありませんが、そうでない場合、スタッフがその系列を異動して働いていることも多いので、子の指導者や上司は親の部下や後輩ということもあり、指導に支障がきたす可能性があります。

まとめ

 親しくなっても職場では公私の線引きを、きちんとしましょう。
 恋人や夫婦の場合、きちんと仕事に取り組み、振る舞いに気をつけ、相手の立場を利用しないようにしましょう。
 友人関係の場合、本来の伝達方法に則って動きましょう。特に、異業種間の話は、責任者を通さないと無意味なものになりがちです。
 親子関係の場合、きちんと仕事に向き合っていれば、大きな影響はないですが、しない場合は、成長する機会が減る可能性があります。

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