見出し画像

#10 大病院と小病院の違い

 施設の規模によって、特徴が大きく異なり、看護師の立ち位置も変わる。
大病院から民間の小病院に転職したときに、ある種のカルチャーショックを受けた。大病院で働いていたときには考えもしなかったことも多かったので、それぞれの特徴・看護部・医師・患者の集め方についてまとめた。

大病院

 一般的に500床以上の病院で、地方の総合病院(600床程度)と、都内の大学病院(1200床程度)での経験がある。

 総合病院は公的要素もあり、地域に根差した治療を目的とし、研修医の研修施設でもあった。
 大学病院は地域の患者はもちろんだが、大元は研究を目的としている施設なので、そこでしかできない治療などを目的に来院する人も多い。

 特徴
 ・看護部が組織化され運営されている
 ・研修医を含め、医師の数が多く組織化されている
 ・医師がきちんと指示を出すことが徹底されていることが多い
 ・患者は集まってくる

看護部
 看護部がきちんと組織化されていて、職員の大半を占める看護部の意見も尊重される。

医師 
 それぞれの診療科ごとに医師の上下関係があり、医師(上司)が後輩医師を指導しつつ一緒に患者を診たり、情報を共有していることが多く、治療方針が統一されており、主治医不在時でもそれなりに対応をしてくれる。
 直接現場でのやりとりが多い若い医師が何か問題を起こした時、指導して改善されるということもある。もちろん上司である医師の人間性や、双方の医師の関係性にもよるが…。
 また、若い医師も多く、病棟などでの医師・看護師間の患者に関することではない、ちょっとした業務の流れなども相談の余地がある。

患者の集め方
 患者は基本的に集まってくる。外来受診の待ち時間が長いとか、手術の日程がずいぶん先になってしまうなど、多くの患者、診療科があるが故に待機時間は長くなりがちである。
 しかし、「大きな〇〇病院」でみてもらえば安心という患者心理もあるし、地域のクリニックや介護福祉施設などとのパイプをもっていて、互いに紹介状しあう。また、かかりつけ医では行うことができない特殊な検査・治療のための来院も多い。

小病院

100床以下の一般病院(2施設)と専門病院で経験した。

特徴
 ・医師が少なく、現場では不在がち
 ・施設によって設備・看護部組織・人員配置などに大きな差がある
 ・医者はそれぞれ独立している
 ・口頭指示が多めで、記録の記載内容には個人差がとても大きい
 ・患者を集める努力・工夫が必要

看護部
 施設によって、看護部の立ち位置は異なる。絶大な権力を持つ医師の下に看護部のこともあれば、医師・コメディカルの下に看護部のこともある。
 法人がその病院以外に施設などを所有している場合は、看護部組織がしっかりしていることが多い。そうでない場合は、場当たり的な形だけの看護部のこともある。

医師
 医局に属さず、自分の腕や知識で勝負している個人プレーヤーのことが多い。同じ診療科、同じ疾患の患者であっても治療に関する考え方はそれぞれであり、統一はされていない。〇〇医師の時はこうする、△△医師の場合はこうするといったルールが無数に存在する。
 統一も情報共有もされていないため、緊急時以外は他の医師の担当患者の指示は出さないことも。当時は、指示がもらえなくて、イラついたりもしたが、医師同士の「お互いの領域を犯さない」という考え方もあるのかなと、現場を離れた今は思ったりもする。

 指示や記録記載が不十分なのは、医師個人の考え方も大きいが、多忙で部署に不在がちなことも原因の一つだと考える。少人数のため、それぞれの医師が、病棟患者、外来患者、手術や検査などをこなさないといけない。

患者の集め方
 患者は、地元の人が多いがそのエリアに他の医療施設があると、そちらにも流れて行きやすいため、患者確保が必須。他施設と連携し、急逝期と慢性期でそれぞれの施設を行き来させることも珍しくない。
 同系法人でクリニック、透析施設、介護施設等を所有していると、法人内での患者移動が発生し確保につながる。

 専門病院の患者数は、立地に大きく左右される。周囲にその専門領域を抱える医療施設の有無で患者の流れは大きく変わる。
 競合がない場合は、その専門領域でオンリーワンとして患者が周辺の医療機関から流れてくる。
 競合がある場合、そちらに患者が流れてしまう可能性も高い。そのため、大病院では、丸一日かかる検査が、数時間で済むとか、数ヶ月待ちの手術が来週にはできる、といった施設の特徴に加え、患者を呼べる腕、知名度がある医師か、ということが重要になってくる。
 患者の人数がそのまま実績や収益につながるので、患者が呼べない医師は、暗に去るよう圧力がかかっていることもある。

まとめ

 大病院は、スタッフの人数が多い分、看護部も、医師たちも組織化されている。患者が安心感を感じたり、特殊な検査・治療が行えるため、患者は自然と集まってくる。
 小病院は、施設によって、あらゆる差が大きく、看護部の立ち位置もまちまちである。医師は業務量が多く、個人プレーヤーなので業務全般に個別性があり、それに合わせた対応が求められる。患者は競合がいれば流れ流可能性があるため、引き留めたり、呼び寄せるため能力や努力が必要になる。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?