#7 看護師の転職:新しい職場では、信頼されることから始めよう
新しい職場で充実した日々を送るために、一番初めにすることは、あなたの実力を見せつけることでも、業務改善をすることでもなく、同僚看護師やその他のスタッフから信頼を得ることです。
今回は、信頼される必要性と、どうしたら信頼されるかについてお伝えします。
1.信頼関係の必要性
「信頼関係が大事なんて、そんなの当たり前でしょ」と思われるかもしれません。しかし、転職後、信頼関係を築くことができず、去る方を何人も見てきました。そういう方々の経歴を見直すと、短い周期で転職を繰り返している人が多いのです。
退職理由は、職場風土の不一致やスタッフとの関係性などが多いのですが、在籍中の業務態度を思い返すと、看護師・コメディカルとの関係がよくなく、居心地が悪かったんだろうなと思う場面が多くありました。
人は皆、「認めてもらいたい」という承認欲求を持っています。しかし、自分は頑張っているのに認めてもらえない、という状態はとても辛く、そこから離れたいと思うようになってしまうのは、ある意味当然なことだと思います。
逆を言えば、周囲にチームの一員だと認められたら、そこは居心地の良い職場になり得るということです。
転職のゴールは採用されることではなく、新しい職場で活躍できること。
縁あった職場で、できるだけ居心地よく働くためには、初期の振る舞い方に気を使い、信頼を得ることが必要です。
2.信頼されるために
チームの中で信頼されるには、同僚と良好な人間関係を築き、ひと通りの業務をこなせるようになることが必要です。
ⅰ.前職場とは違うことを認識する
前職場と新職場は全くの別物です。
建物の構造などは当たり前ですが、方針や業務内容、使用物品類、看護部のあり方、あなたの立ち位置など、数え出したらきりがありません。
同じ施設内でも部署が変われば、それぞれのルールがあるように、施設が変われば、当然もっと大きな違いがあります。
・あなたの立場も前職とは違う
あなたの置かれた立場も、以前とは異なることを認識しておきましょう。
あなたがどんなに素晴らしい人柄、実力、経歴の持ち主であっても、新しい同僚達はそのことについて知りません。これから一緒に働くことで、あなたの人柄や実力を知っていくのです。
そして、経歴は現場において大した意味を持ちません。なぜなら、あなたがその施設・部署で必要とされる仕事ができる人かどうか、ということが判断基準だからです。
ⅱ.違いに逐一反応せず、状況把握に徹する
しばらくの間は、新職場の業務やルールを覚え、人間関係の観察をする時期だと認識しましょう。
・業務全般
働き始めると「これ、無駄じゃない?」「なんでこうなの?」など、前職場と比べてよくないことが、とても目につきます。前職で指導する立場にいた方は、それを指摘したい、すべきだと感じる方もいるでしょう。
でも、指摘をする前に、なぜそのようなやり方をしているのか確認しましょう。昔から惰性で行われていることかもしれませんし、過去にインシデントが起こり、防止策としてでき上がった仕組みかもしれません。
理由を聞いて腑に落ちないのなら、慣れた時に忘れてしまわないよう、メモに残しておき、いずれくる効果的なタイミングで、意見として具体的な改善策と共に発言するようにしましょう。
・人間関係
役職などに伴わないパワーバランスや派閥が隠れていることも多い看護師集団。適度に距離を保ちつつ、どんなスタッフがいて、どんな関係性なのか、表と裏のボスを探りつつ、うまく渡り歩いていきましょう。
よくわからず、優しく声をかけてきてくれた人と仲良くなったら、いつの間にか派閥に属していて、あと後厄介ごとに巻き込まれてしまうことも…。
全体把握できまでは、全員ほぼ同じ距離感を保ち、様子を探りましょう。
・あなたの扱われ方
あなたの看護師経験にかかわらず、新職場で初めて行う処置などは、既存スタッフに確認をされることが多いです。また、普通に行っていた業務を任せてもらえなかったりもします。
「なんでチェックされないといけないの?」と思うかもしれませんが、一般的に行われている処置でも、施設によって使用物品やルールが違うことがあります。
前職場通りにやったら新職場では間違い扱いとなり、インシデントレポートを記載しなければいけなくなることも。そのようなことを防ぐための確認作業だと思って受け入れましょう。
そして、ここがネックになる人もいると思うのですが、確認したり、指示するのはあなたより若く、経験が浅いスタッフの可能性もあります。
新職場では、あなたは看護師経験のあるひとりの新人です。年齢関係なく既存スタッフは先輩だということを念頭に置いておきましょう。そこに、いちいち目くじらを立てるのは時間と労力の無駄です。
あなたが仕事を覚えて、こなせるようになり、尚且つ、スタッフからの信頼された時に、あなたの本領を発揮していけばいいのです。
ⅲ.とりあえず一通りの業務をこなせるようになる
あなたの経験年数に応じた、一般業務が実践できない間は、仕事において信頼できる相手とはみなされません。
仕事に慣れ、信頼を得るまで多少時間がかかりますが、辛抱して乗り越えましょう。
・転職によるパフォーマンスの低下と自信喪失
個人差はありますが、転職による職場風土・業務内容・人間関係・生活習慣の変化から、前職に比べ仕事のパフォーマンスが下がります。そのため、「こんなこともできないなんて情けない」と思うような場面が幾度となくやってきます。
そんな状態を、常に同僚たちが評価している、という事実にストレスを感じる方も多いです。自信がないため悲観的になり、スタッフが雑談していても、「私の悪口を言ってるに違いない」と思い、悩んでしまう方もいます。
でも、安心してください。
これは転職に何度も成功しているベテラン世代でも同じなのです。
ですから、「転職後はパフォーマンスが低下するもの」と思っていれば、必要以上に落ち込まなくてすみます。パフォーマンスが復帰するまで粛々と日の仕事をこなしていきましょう。
3.信頼される意見の発し方
提案したり、意見を言う場合は、言葉とタイミングを慎重に選びましょう。
2−ⅱ.でもお伝えしましたが、必ず、なぜそうしているのか理由を確認してみましょう。それを聞いて、一旦のみ込む、または、具体的な代替え案を提案してみましょう。
とはいっても、緊急を要すことでなければ、関係性ができ上がってからの方が、意見が通りやすいのは事実です。
くれぐれも、馬鹿にした言葉や口調で上から意見するといったような、知識と経験、燃え盛る正義感や、正論で打ち負かそうとする革命家になるのは避けましょう。
まとめ
転職をしたらまず、信頼関係を築くことから始めましょう。信頼関係を確立することで、承認欲求が満たされて、充実した職場生活の大きな助けになります。
ただ、看護師の人間関係は複雑なので、しっかり把握できるまでは、一定の距離感を保ちましょう。
新職場は、前職場とはいろいろな意味で別物であること、新職場であなたは、経験年数など関係なく一番後輩であることを自覚し、粛々と仕事を進めましょう。
信頼関係を築き、スタッフとして一人前になってから、あなたの本領を発揮していきましょう。
関係が確立してから意見を発言する方が望ましいですが、その前に行う必要があるのなら、まず理由を確認し、馬鹿にした言い方をせず、代替え案を出すという方法を取りましょう。
新しい職場での日々が、実り多いものになりますよう、お祈りしています。
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