見出し画像

やっぱり、人付き合いは大切にしようって思った話

私は、病院で入退院に関わる仕事をしています。つまり、他の病院からの転院の相談を受けるのです。

先日、相談があった患者さんの事例から、やっぱり家族とは良好な関係を築いておかないといけないよなぁ・・・と思ったという話を書いてみたいと思います。

やっぱり人は一人では生きることが出来ないのです。



1人で頑張ってきたけれど

先日、近くの総合病院から転院の相談がありました。

80代のAさん、おひとり暮らし。ご主人がいましたが他界されています。お子さんはいません。ご兄弟がいますが、疎遠になっています。つまり、今までは一人で頑張って生活してきたのだと思うのです。

ある日、Aさんは脳梗塞になり入院となりました。最初は、自宅に帰るつもりでリハビリを行っていたようですが、食事摂取量が少なくなり、全身状態が悪くなって傾眠傾向になってきたので、ほぼ寝たきりの状態。そして、判断力も落ちてきました。

自宅へ帰ることは難しく、転院の相談があったのです。

ただ、ここで問題が発生します。

入院費は誰が払うのか。もしもの時の対応は誰が行うのか。

Aさんには身寄りと言える人は、弟さん1人だけですが、疎遠で不仲。長く会ってもいなかったそうです。それでも、なんとか対応していただけるよう、病院から連絡を取り、来ていただいたそうですが、本人の金銭管理はしたくないと言うのです。

そこで、成年後見人制度を利用することになりました。ただ、これも申し立ては誰がするのかという問題が発生しますが、これは弟さんが動いてくれました。今は、判断を待っているところのようです。

他にも、施設入所も考え介護保険を申請したりしていますが、これも弟さんが動いてくれています。病院での入院の手続きや書類のことなどもしてくれています。本心は、不仲でしばらく会ってもいない姉の世話などしたくないのではないかと思いますが、自分しかいないと思って、動いてくれているのです、きっと。(想像です)

私の勤める病院は民間の療養病院です。ご相談をうけましたが、後見人が決まるまでの間の支払いを弟さんが行ってくれること、そして、急変時の対応などを弟さんが担ってくれることが条件で、相談を継続して受けることとなりました。さて、どうなるか・・・。

やっぱり一人では生きられない

きっとAさんは一人で頑張って生きてきたのではないかと思うのです。金銭管理や身の回りのことなど、80代で誰にも頼らず生きていたのは大変だったと思います。

でも、兄弟関係が良好でなかったのは、やはりなにか関係性を悪くする要因があったのではないかと思うのです。

それでも、自分で自分のことが出来なくなったときには、誰かの力を頼らざるを得ません。頼る方も本意ではなかったでしょうが、頼られる方も本意ではないでしょう。

やっぱり人は一人では生きられない。誰かの世話になることも考えて、兄弟や子どもなどとの関係性を築いておくことは大切だなって思ったのです。

親族との関係性が良い場合は、成年後見人制度を使わなくても、子どもや孫、兄弟、そして甥、姪などが動いてくれる例はたくさんあります。私にしたら、甥や姪がそこまでしてくれるの?って思うこともあるのです。

備えは大切

それでも、どうしても一人で生きていかなければいけないこともあるでしょう。最近は未婚化もすすんでいますし、全世帯の独居の割合が増えているといいます。今後、ますます頼れる親族がいないケースは増えていくのではないかと思っています。

若い時、元気な時はそれでもいいのですが、病気になったときなどのことも考えておかなければいけません。

医療の選択、どこまでの治療を望むのか。
金銭管理は誰が行うのか。

その時に備えて、あらかじめエンディングノートに自分の思いを書いておくとか、尊厳死宣言公正証書を作成しておくとか、金銭面の準備をしておくとか、そして自分の判断力がなくなった時に備えて成年後見人(任意後見人)制度の利用をしておくとか、出来ることはあるのではないかと思うのです。

人にはいろいろと事情があると思います。人に頼りたくない、頼れないなど。それは仕方がないことだと思うのですが、そうであればやっぱり準備をしておくことって大事だよなぁ・・・と改めて思ったのでした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?