見出し画像

取り上げられたくない仕事⑦普通の高校教師が、外国につながりのある子どもに日本語を教えるようになった

支援3回目。
人見知りらしきAくんが、
やっとわたしに慣れてくれた(気がした)
そんな日となった。

人見知り、というか、
小学生の男の子が、
知らない外国人にすぐ慣れろ
という方が無理な話で。

今回の目標は、前回の反省を踏まえて
疲れない授業

それは生徒にはもちろん、教える自分も。
必死に「笑えるショート動画」を探し
いざとなったら、と準備した。

今日は卒業式準備のため短縮授業、との事で、
いつもの90分が80分となる。
しばらく経過した、きた!あくびかみころし!

そのタイミングで、ページをめくり
少しとばして「ある?ない?」に行く。
準備した小道具の紙コップに、
「これ、消しゴム。」
まず紙コップで隠して、持ち上げて
「ある」
消しゴムが無い方の紙コップを持ち上げて
「ない。OK?」
Aくん大きく頷く。

次に、片方に入れてシャッフルして、
右の紙コップを指して、
「ある?ない?」
質問する。
「ある」
紙コップを持ち上げる。消しゴム存在。
「当たり〜」
と言ったら、ニコニコニコっと笑顔。
キラキラした瞳は何ものにも、かえがたい。

じゃ、もう一回。(シャッフルして)ある?ない?」
右のコップを指して、聞く。
「ない」
紙コップを持ち上げる。消しゴム不在。
「当たり〜」
これを数回繰り返す。
間違えたら、ゆっくり動かしたりしながら、、

あ、ほぐれたな、と思ったタイミングで
元のページに戻り、
退屈だけど大事な日本語の学習、を進める。

しばらくして、
きた!第二のあくびかみころし!
「stay」
と言い残し自分は立ち上がり、
Aくんの机の前に行き、右側で大きく手を振るジェスチャーして、
「みぎ」
左側で大きく手を振るジェスチャーして、
「ひだり」
自分をさして、
「まんなか」
言って即座に席に戻り、
消しゴムに小道具紙コップを被せ、二つ並べて、
「けしごむ、みぎ、ひだり、どっち?」
「みぎ」
「当たり〜」

このくらいまでくると、
当てた本人より、
当ててもらった自分の方が喜んでるんじゃないか、くらいの勢いで、
わたしは嬉しい!
エアなでなでをしたくらい!
(コロナを言い訳にして「エアなでなで」という独自の褒め方法を少し前に開発)

Aくんも、ローマ字で
migi   hidari
とノートにメモして答えてくれる。

そんなこんなで、算数を20分はさんで
80分はあっという間に経過した。
なんなら(設定していたはずのアラームが鳴らず)
担任の先生が迎えに来た、そのギリギリまで続けた。

春休み前、最後の授業との事で、
手作り宿題を4冊だした。
コーディネーターさんからアドバイスを頂き、
いつまで誰に出せばいいか、わかるよう

4がつ8にち に
Cせんせい へ

と表紙に明記する。(担任のC先生に相談したら「人事がどうなるかわからないから、旧担任として自分が」と心よく引き受けてくださる。C先生はお若い女性、仕事速いし人望があってクラスのまとまりも強い)

保護者にもわかるようにしてきた、とのアドバイスもあったため、
あらかじめ雑談中に
「お父さん、お母さん、日本語話せる?」
お父さんはたくさん話せる
お母さんは少しだけ
と聞いていたので、
しゅくだい
「お母さんと一緒にやっていいよ」
と伝える。↑これは翻訳機を使う。

これまでAくんは
出した宿題は必ず全部やってきてくれた。
今回、宿題が4冊にも膨れ上がり、
ドン引きれたらどうしようか?
と、心配しないでもなかったが(日本人高校生は「宿題」とのワードにギャーギャー言う…。やる事がいっぱいあるそうな)
どっちかと言うと嬉しそうに受け取ってくれた。

「がんばりノート」を、時間割曜日変更だった事で忘れてきたので、
シールをノートに貼ってあげる。
今日Aくんが選んだのは立っている白うさぎ。
その白うさぎを撫でて、キラキラっと笑った。
と、尊い、、

某YouTubeチャンネルにて、
あなたの今の仕事は、取り上げられたらどうですか?どう感じますか?
との質問があった。
上記からお察しいただけるように、
即答で「取り上げられたくないです」と言える。

支援一人目の生徒さんなので、
新鮮さも相まっているとは思う。
これから激動が訪れないとも限らない、が、
AくんといいC先生といいコーディネーターさんといい、
ものすごく恵まれた、良きスタートがきれたと思う。

全てに感謝。。

どなたかの、何かのお役に立てれば幸いです。
今後とも、どうぞよろしくお願いします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?