最近読んだやつ#1
青空文庫っていいよね！
息するようにネタバレ感想を垂れ流すよ。気を付けてね。
芋虫(江戸川乱歩)
友人からのおすすめ本。以前Twitterでもおすすめを見かけたことあり、その時から気になっていたのを思い出して読んだよ。
短編なのでサクッと読めた。
戦地で四肢欠損して帰ってきた須永中尉の奥さん、時子の愛情物語。たぶんそう、いや絶対そう。違いないよ。純愛！
とりあえず通読しての感想は最高すぎるに尽きる。
性癖拗らせパワーがすごいので皆読んでおこう。かぐわしい湿度たっぷり全体的にせいぜい暗めの間接照明くらいしか光源無いみたいな雰囲気だよ。だとしても歪んでも愛は愛なので全然大丈夫です。おいしいね。
作中、主人公・時子の夫こと須永中尉は一切セリフが無い。というか怪我で話せないので当たり前なんだけど、なので本人の人となりを読者はいまひとつ分からない状態で進んでいくのに、最後のメモとも手紙とも言えねえ紙切れに書かれた言葉で何となく人柄の断片が知れるの秀逸。良い人だったんだろうね。
陰翳礼讃(谷崎潤一郎)
こちらも友人おすすめ本。
陰影を、陰と影をずっと考察している本。いいね。
正直言ってその考え令和には合わねえぞ…って部分は勿論あった。まぁ昭和8年とかなので…仕方ないけど令和時代のおれくんはモヤりました。
良かったところはもちろんあるよ。というかめっちゃ良い本だよ。
特に漆器、金地の屏風とか、暗いとこで見るもんなんだよぉ!!って言っているのはめっちゃ腑に落ちた。言われてみれば、確かにお寺とか昔の家とかの仄暗い中で黒く光る器とか、めちゃ綺麗。
そこで使われてきた物たちなんだから今のLEDぎゃんぎゃんルームで見るより綺麗だよね。
でもこれ自分が感覚過敏で明るい場所、賑やかな場所とかに過剰反応してｳﾞｯ(絶命)しているから、自分にとって明るすぎ五月蠅すぎの現実への逆張り感情でこの本いいねって言っている心の部分は確実にある。絶対ある。私はその程度の人間なので。
駈込み訴え(太宰治)
人におすすめ本聞かれたらこれ答えるよ。性癖拗らせ限界人類の必読書、太宰治の駈込み訴え。
既に何度も何度も再読しているけど、この度上記の絵本で買ったので改めて感想。
愛憎ごちゃまぜで本人すら何が何だか分からなくなっているの良過ぎる。毎度読み直しても感嘆するよ最後の一文の絶望感。最高。
訴えに走り出してから首を吊るまでがユダのサビだと思っているので、駆け込み訴えは句読点に至るまで全部サビ。あの人がどう思っていたのか知りたいけど知りたくない。文章なのにユダが口角泡を飛ばして話す情景が浮かぶの凄すぎるだろ。てか「あの人」って代名詞が最高。ユダが「あの人」って言ったらあの人しかいないの、こう、侘び寂びです。
そんなストーリーを、絵本ではパステルカラーで終始描かれているのがふんわり狂気じみていて良かった。愛憎ぐちゃぐちゃ内面って寧ろ人間然としていて可愛らしくって綺麗で散らかっているよね。良い買い物をしました。
52ヘルツのクジラたち(町田そのこ)
なんか見たことあるタイトルだったので読んでみた。
自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会う時、新たな魂の物語が生まれる。(Amazonの紹介文より一部引用)
「魂の番」って言葉が出てくるんだけど、すごい素敵。うーん素敵。ゴミ語彙力で説明しても仕方がないくらい素敵。
クジラの貯金箱とか、痰吸入器とか、分かり易めのメタファーが多かったので、するする読めたよ。
でもうん…1回読めば満足かな…。そこまで刺さらなかった…。
尚これは、或いはメリバをハピエン判定で生きているような懶惰マンの感想なので、読んだ事無いならこんなクソ記事読んでないで一旦こっち読もう。私だって忘れた頃にふともう1回読んだら大事な本になっているかもしれない。
残機1(梅津瑞樹)
エッセイ。でも最後の方にSSみたいなのも載っているよ。
エッセイって面白いんだな…と思えた本。
舞台俳優の方が書いているけど、あの…個人的な最低ド偏見として、芸能界の方が書いてるエッセイって表紙や扉絵に眉目秀麗な成功者ご本人顔写真ﾊﾞｧﾝってのが載っててしゃらくせえな…と思うのが多いんだけど…これ全然そんなこと無くって、かなり安心した。ってか「はじめに」でも言及されてるけどねこれ。
生きている内に確定で溜まるもやもやがひとりごつように言語化されててニッコリハッピー。
共感？安心？そんな感じです。何回か読み返している。明治大正昭和の小説の匂いがする文章を書かれる方で、当方はその辺の時代の小説を徘徊している化け物なのでそういった意味でもよく見た安心感があって良き本。
梅津さんの文章他にも読みたくなったよ。良い本です。
まだあっついけど秋になりつつあるね〜体調気を付けてね〜
また読んだ本溜まったら書くよ
ばいばい
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