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茶粥の話。

茶粥が食べたくなった。

私の祖父の家は、山口県の周防大島にありました。
毎年、夏休みのほぼ1か月、大島で過ごしました。

朝は家の前でラジオ体操、お墓まいり、般若心経を祖父と一緒に唱え、
そのあと茶粥を食べる。
川の水位で海の高さを判断して
水着に着替えて走って海まで行く。
帰ってきたら外の洗い場で砂を落としみんなでお風呂に入る。
お風呂は薪焚きだった。

そんな暮らしを懐かしく思い、いただいた茶粥のもと(ほうじ茶らしい)
で、さつまいもを入れて、炊いてみました。

茶粥は「ちゃちゃ」とか「おかいさん」と呼んでいて
朝の茶粥炊きは祖父の仕事。

大きな鍋に、たっぷりの湯を沸かし、
ガーゼのような袋に茶粥のもとを入れて
いい感じの茶色になるまで沸騰させる。

ちょっと苦めの、香ばしい香りがして
ほわほわした湯気が立つ。

お米と、ひとくちサイズに切ったさつまいもを
入れて、いいかげんになるまで煮たてていく。


夏は冷たいままでも
冷えた白米と合わせても
ソラマメを入れてもおいしい。

茶粥のもとになるほうじ茶。「こちゃ」と呼んでいた。漢字で書くと、わからない。

これに祖母の奈良漬けを合わせると、
何杯も食べられた。

残念ながら、奈良漬けの作り方は
誰にも伝授されていないのだけれど

この「ちゃちゃ」の作り方は
ちゃんと私の身にしみ込んでいたのが
うれしかった。

楽しい時間も
不機嫌なときも
家族がうるさいなと感じたときも

あの茶粥があったことが
ほんとうに愛しい。


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