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おすすめ本紹介シリーズ

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約週1回ほどのペースで投稿しているおすすめ本紹介をまとめたものです。どれも他の人に読んでほしいお気に入りの作品なので、少しでも興味を持ってくれれば幸いです。
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2023年12月の記事一覧

旅を続けて、思い出を重ねて ~瀧浪 酒利『マスカレード・コンフィデンス』を読んで~

 あくまでも個人的な意見だ、話半分に聞いてほしい。ここ最近、ライトノベルでは今まで見向きもしなかったジャンルがあちこちで目立ち始めている。私の趣味というのもあるが、今までの本紹介でもいくつか取り上げている。新人賞・プロ作家の新作どちらにも見られるこの風潮はもうしばらく続くだろうと考えている。というか続いてほしい。  先月、そういった時期の中で新たに世に出た受賞作がある。それが『マスカレード・コンフィデンス』だ。この作品もどちらかというならばラノベにおける特殊ジャンル系に分類

その魔法は"うそ"か"まこと"か ~三田 誠『魔女推理』を読んで~

 唐突だが、皆さんはお気に入りの作家の新作は無条件で購入する、所謂「作家買い」をしたことがあるだろうか? 私は興味のある内容かどうかで判断するためほとんどない。興味のある内容だなと思ったら偶々以前読んだ本と同じ作家先生が書いていたというニュアンスの方が多いかもしれない。この人だからという理由のみが動機になる事はあまりない。  という思考回路なせいか、『魔女推理』はかなり特殊な動機だったのかもしれないと今更ながら思う。そう、柄にもなく「作家買い」をしたのだ。実は前々から同作者

これから語るは文字の先 ~道草 家守『帝都コトガミ浪漫譚』を読んで~

 私は「どのジャンルが1番好き?」と尋ねられると答えに行き詰ってしまう。何せ王道なものに食指が動くこともあればマニアックなジャンルに手を出すこともしばしば。フラフラした末には「作者様の好きな物が詰め込まれた作品」が答えなのかと思うようになった。製作経緯が明言されない作品も多いため、主観的な部分が抜けきれないのだが。  先日SNSにて存在を知った『帝都コトガミ浪漫譚』もそのタイプだという。これに関してはあとがきにて明記されている。とはいっても最初はそんなことも悟ることなくこの

撃ち抜け、私達の夢! ~Chinozo原作・監修/三月 みどり著『ショットガン・ナウル』を読んで~

 いつからか私は巻数にこだわるようになったのだろう? 先日友人から勧められた本のシリーズが行きつけの書店に1冊しかなく、残りの巻を求めて周辺の書店をハシゴしていた時にふと考えた。よくよく考えてみると私がまだラノベ読みとなる前、図書室の児童文庫を読んでいたころは本に数字が付いていてもそれを無視して本を読むことができていたというのに。今となっては到底できそうにもない。  そんな折に意図せず似たような状況に遭遇した。先日購入した『ショットガン・ナウル』はどうやら巻数もそれなりに重