見出し画像

みっきーのリアル登山者の端書き#808『鳥獣保護管理法とウミネコ』

TVのニュースにて、東京の江東区などの沿岸部のマンションのうち、緑化対策をした屋上にウミネコが巣を作って繁殖をはじめ、糞害や鳴き声のうるささに住民が困っているというものが紹介されていました。

その中で「鳥獣保護管理法の関係でウミネコの捕獲・駆除ができない」と説明されていました。

鳥獣保護管理法は厳密に言うと「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」なのですが、かつては「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」という名称でした。

制定されたのは大正7年。
当時は狩猟による鳥獣への減少圧力が強く、保護の必要があるために作られたものとなります。

それが平成14年に改訂されたものが「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」になります。
要点は「保護」だけでなく「管理」という要素が追加されたことです。
「管理」とは捕獲・駆除といった行為による個体数の適正化を指します。
保護が行き過ぎたせいで却って繁殖が進み、それがバランスを崩す要因となることが分かって来たからです。

さて、そんな鳥獣保護管理法の枠内では、基本的には狩猟鳥獣は決まっています。
年度によってちょこちょこ入れ替わりますが、現在時点では
鳥類26種
獣類20種
合計46種(https://www.env.go.jp/nature/choju/hunt/hunt2.html)
となっています。

この中にウミネコは入っていないので、ウミネコの捕獲や駆除は違法行為となります。

ですが、鳥獣保護管理法の中には「ただし、生態系や農林水産業に対して、鳥獣による被害等が生じている場合や学術研究上の必要性が認められる場合などには、環境大臣又は都道府県知事の許可を受けて、鳥獣又は鳥類の卵を捕獲等することが認められています」という文言があります。
つまり、何かしらの実害があって国や自治体が認めてくれれば駆除ができるということです。

ソースは微妙ではありますが、今回のウミネコの繁殖は動物園がウミネコを放鳥したことがきっかけとされています。
そうしたことなら人の手の介在によってウミネコの清掃数が増えていることになるので、元々のウミネコの生息数には影響を与えないものとして、駆除の判断を行なうことも適切なのかもしれません。

逆に、何かの理由でウミネコが元の生活圏から江東区へ移動してきたという話の場合、このウミネコを駆除することはウミネコ全体の生息数を圧迫することになるため、駆除の判断は不適切と言えそうです。

駆除・捕獲によって多くの種を減らしてきてしまった人類にとっては、その手段は忌避されがちなのかもしれませんが、きちんとその変動の理由や原因を見極めたうえで、手段として行使することは必要なように思います。

ひとつの層だけでなく、俯瞰して物事を観察することが肝要ですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?