アナタ ノ コエ ガ 一人じゃないよ、と ワタシ 二 トドク あとわずかな時間 やり過ごせるよ こうして、一緒にね やり過ごせるのかもしれない もしかしたら 瑞々しい林檎の香りに 満たされていた 泣いている間に 秋が来ていた
きまぐれ 散歩道 彼岸花 朱く 少し歩みを停めて 空には夕陽 彼岸の花に 問ほてみる そちらは、今 いかがですか、と
それは、夢だった わたしは夢の中にいた 君も夢の中にいた それは、私の見た夢だった 醒めてしまうと、その夢は 哀しくも、 刻一刻と、消えゆく記憶 急げ、書き記すのだ 拙き言葉で 君の姿が消え去る前に 眠るたび 夢で逢えたらいいのに 君に逢えたらいいのに
憎しみではなく 愛しさの炎を燃やしたい 暖かな想い出のために 共に生きる生命のために そして、 はかり知れぬ未来のために
貴女が微笑んでいるのを 見ていた 貴女が、ただそこにいてくれて 嬉しかったから ドタキャンしても いいんだよ また何度でも、誘うからね
ふいに流れはじめる 哀しくて優しいそのメロディーは 今は、ただ繰り返すばかり くるくると回る小さな踊り子 光に満ちたフレーズには 進まない、決して 君が、うっかり気を取られてしまうまで それは、前触れもなく訪れて 君は、光に包まれる 繰り返すメロディーと 過ぎ行く時間は なんの矛盾もなく やわらかく、確実に 私を捕えて放しはしない 愛しきコールユーブンゲン 風に乗り、帰っておいで
決して手放しはしない どんな時も この苦しみの中に 生きた意味が在るのだから 大声で泣いていい ふてくされてもいい 時には微笑んでもいいんだよ 何もかもが嫌になってもいい 耐えられぬ不安の中にいるときは 信じていい たまたま隣に居合わせた人に 甘えていい きっと、その人は そっと、気づかれぬように 隣で手をさしのべて 待っていてくれた人 だから、 焦らすに そして急がずに そのまま生きてみよう 一緒に歩いてゆこう もしかしたら 今、この闇は 奇跡の瞬間にむかう 道の途
昨夜の雨は、 じっとしてなどいられない たくさんの雷の子供たちを連れて なだめすかしながら 先を急いだ 西から東へ 雷の子供たちよ はぐれないで ちゃんと、ついておいで 雨粒の小言を聞きながら 雷の子供たちも、私も 同じ夜空の下 紫陽花の花が、 少しくすんでしまったのは、 昨日の夜の雨粒に 濡れたせいではありません 私の目尻の湿っているのも、 君のせいではありません 未来からやってくる『今』は、刻々と やるかたなく通りすぎて 一瞬にして、過去になってしまう 気が遠くな
ちょっと曇りで、ちょうどいい 風もふんわり吹いてきて 目の前を歩いてゆくスズメ パンのはしっこ投げてみた …気づかないのかな? …ケーカイしてるのかな? ちょっと曇りがちょうどいい サンドイッチとポットのホットコーヒー コーヒー、熱っ! パンをつまんで、走り去るスズメ ようやく、気づいたか 少しはなれて、見ているスズメ もう少し、パンいかがですか? ちょっと曇りで、いい感じ
すべては、 わたしのせいです、と 静寂の中 彼女は言った その微笑みは 誰に向けられたものなのか 彼女の抱える 哀しみは、 彼女の精神を 当然のように 刻一刻と すり減らしてゆく 僕には なにもできない なにもしてやれない… 骨折みたいに せめて、心の傷が見えたらいいのに
『アンネの日記』のページを ゆっくりとめくりたかっただけ なにしろ、 初めて手にした 可愛い紅色の 布貼りの装丁だったから
小さな旅を想うには あまりにも悲しみが大きすぎて 遥かなる旅に想いを馳せる それは 何処かに、心のありかを 見出だせるのかもしれないような 明日に夢を感じられた頃のような それでも、 大樹のもとに泰らぐような 希望とは言えないのは それは あまりにも、大きすぎて 見上げているうちに 足下の波に浚われてゆく その波は、 前触れもなくやってくる 涙のように 交わすことはできないのだよ 交わすことができないのだよ
鳩が鳴いているのか それとも、 君の母君が泣いているのか 悲しみは慈しみ 苦しみは癒し キラメク 煌めいてゆく 包まれている 穏やかな波のように 届けられた あなたの心を 宇宙の片隅で わたしたちは、 ほんの一瞬 そこから、 始まろうとしている 終わりのように、 始まろうとしている
もう、これ以上 何もできない この、傷ついた心で 何ができると いうのでしょうか あなたの 苦しみにユレル指先 それなら、なぜ ここに、 あなたの優しさに癒されてゆく わたしがいるのでしょうか
そこに、君がいる 見えるよ、君の笑顔が 風の中の歌のように きこえるよ、君の声が どちらが夢の中なのか わたしにはわからない 君の声が 聞きたくて 君が大好きな歌を 今日も歌うよ
君に会えた 君に会えた 君に会えた