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コミュ障がPTA広報部長をした件 第6章 広報紙ガチ勢

前回のお話

学年が上がるにつれて広報紙なんてどうでもよくなる

 広報部長にはなったものの、実はこれまで広報紙をじっくり見たのは子どもが入学して初めて持ち帰った号のみである。というのも、年2回の発行のうち、1学期末に発行される号は新入生の特集で表紙に長男が写り込んでいたのもある。以降は、持ち帰って渡されてもざっと目を通したら即行でリサイクルセンター行き処分を下していた。むしろ、見ることすらしていない号もあったかもしれない(記憶にないので)。当然のことながら、学級委員に選出された後の広報紙も広報部になるかもしれないのに即行で処分していた。こんな保護者は私ぐらいかもしれないと思っていたが、本部の広報担当役員も似たような方々だった。

ガチ勢その1   読者様

 私とは対極の対応をとる保護者も当然ながらいる。PTA広報紙を毎号楽しみにしていて、じっくりと隅々まで読んで、ファイリングして大切に保管しているという保護者である。広報紙ガチ勢である。本部役員にも数名いた。それを理解した上で、保護者と学校側の作業負荷低減と市P広報紙コンクール応募品内容を考慮して、発行時期の変更と内容吟味で年1回発行にしてみてはと年度末の反省会(会議)で提言してみた。当然のことながら、広報紙ガチ勢にけちょんけちょんに反論された。年々内容が簡素化され、特に令和となってからその傾向が顕著となったのがお気に召さないようで、内容を元に戻してとかコスト面から回数アップとか言い出す始末。このとき、心底、この方々が広報部担当でなくてよかったと思った。ちなみに、うち一人は次年度のPTA会長に就任している。

ガチ勢その2 制作者様

 PTA広報紙を楽しみにしているガチ勢とは別の広報ガチ勢もいる。それは市Pなどの広報紙コンクールで受賞するような気合の入った広報紙を制作するガチ勢である。実際に、広報紙ガチ勢が作った受賞作は紙面の企画もレイアウトもスゲェとしか言えないクオリティであった。内容もさることながら、賞をとる広報紙は使う紙の質も違う。我々が作った広報紙の紙質はカラーチラシのような質感の紙、対して受賞校はいずれも画用紙のようなやや厚めの質感の紙を使用している。そうか賞レースに賭けるガチ勢は紙にもこだわるのか。これも各校PTA広報部が長年築き上げてきた広報紙制作ノウハウなんだろう。ノウハウなんてこれっぽちもない我が校PTA広報部では受賞は難しいのも納得できる。

何かに気づく

 しかし、受賞校一覧を見てふと思う。受賞校のエリアが偏っていないか、どう見ても市内のあるエリアに集中している。広報紙制作に情熱を注ぐ保護者が特定小学校に集中して存在するとは考えにくいので、理由としては賞レース向けの高度なスキルを有する印刷所が特定のエリアにあるということ。なるほど。手間をかけたくなければ学校近隣の印刷所と組むはずなので、近隣の印刷所のスキル次第ということか。さらに、まさかなとは思いつつ歴代受賞校がネット上に公開されていたので見てみた。過去5年分を見ると、この年の受賞校が別の賞で受賞しているのであって、ほとんど顔ぶれは変わらず。そういうことか。賞を目指す上で必要なのは優秀な印刷所、しかと次年度に申し送っておく。

広報紙ガチ勢に告ぐ

 広報部長となって知った2種の広報紙ガチ勢、広報紙を楽しみにするガチ勢もコンクール受賞に情熱を注ぐガチ勢もどちらのガチ勢にも言ってやりたいのだが、PTA広報を担当する保護者もあなたと同じ情熱を広報紙に注いでいるわけではないことを知ってほしい。任を受けたらそれを完うしようと努めるが、令和の保護者はそれほど暇ではないので従来の活動を継続することより効率化を求めてしまうだろう。そして、広報紙の出来をどこかと競うようなことは望んでいない。そもそも、広報紙ガチ勢のためのビジネスガチ勢によるコンクールに参戦するのが間違いであると、ガチ勢じゃない広報部長は忘れずに次年度へ引継ごうと心に決めたのである。

つづく

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