47.恋

 母は塾へ電話をかけ、中学校が決まったので辞めることを告げた、
その後、母と一緒に塾へご挨拶に行った、

事務の女性の方が
「Iくんね、学校みんな落ちちゃって、まだ決まらなのよ。
二次試験とか三次試験とか受けてるの、
だからまだ一人で頑張って通ってきてるわ。」
そう私に話してくれた。

とっても驚いた。
私の予想では、Iくんは私より先に学校が決まってて、ニコニコして報告に来るぐらいのことを考えていた。

なぜ⁇

私は思った。

Iくんは、私より勉強できるし、面白い子だし、絶対受かると思うの。
それとも、Iくんが行きたい学校じゃなくて、お父さんとお母さんが行きなさいって言っている学校が、よっぽど成績が良くないと入れないとか⁇
あ…そっか。
わたしはIくんがすごく勉強できる子だと思っているけど、世の中からしてみたら、そんなでもないのかもしれない。
その証拠に、私と同じ、畑の中の一軒家みたいな塾じゃない。
勉強できる子は、みんな四谷大塚行くんだもの。
それとも〜…
そうだ!!
ママが言うように、実力発揮ができないのは、私と同じ、方角が悪かったせいなのよ!!
きっとそう!!
そしたら…
それは可哀想ね。
誰か教えてあげたらいいのに。

私の結論は、“Iくんが受からないのは、方角が悪かったから” ということになった。

どっちにしろ
私はIくんに最後の挨拶もできず、そのままお別れとなった。

本当は彼に会いたかったけど、どう励ましていいかわからないし、心配だったけど、結局、その後も塾に行くことはしなかった。

Iくんはその後どうしただろうか。
今、どうしているだろうか。
とっても気になる。

学校では、次々とみんな中学校が決まっていく。
仲良しYちゃんには、あえて聞かなかった。
いつか決まることだし、聞いたら寂しくなるもの。
だから聞くのをやめた。
Yちゃんも私には聞いてこなかった。

誰かが話してるのを聞いた。
Yちゃんが行く女子校の名前。

よかった。
Yちゃん、合格したんだね。
おめでとう。

卒業式の予行練習が始まって、とても緊張する。
そんなに広くない講堂の後ろ側に、図工や家庭科で作成した作品が並ぶ。
みんな好きな子がいたら、自分の作品を横に持ってきて並べたりして…♡

私はその頃Kくんが好きだったけど…
本当にそうだったのか、ちょっと疑問。
雰囲気がそうさせたのか、誰かに

「そめ、Kくんが好きなんでしょ!!」

と、言われて、つい

うん

と言ってしまったのが始まり。

私はただ追いかけっこしたり(何がきっかけだったか、教室の中で逃げ彼をひたすら追いかけて遊んでた)一緒に遊んだりするのが好き、という感じだったのだと思う。
ただただ、一緒にいて楽しかった。
クラスのみんなは、私がKくんを好きなのだと思っていて、私も

別にそのままでいっか

と、否定もせずにいた。
否定したら、今までの楽しい関係がなくなってしまうような気がしたから。

…ということを、今初めて告白します。

バレンタインの時は、母に不二家のハートチョコを買ってもらって渡した。
生まれて初めての出来事。
私はこのチョコが大好きで、今でも見る度にこの日のことを思い出す。

私が水ぼうそうに罹った時は、彼のお母さんから電話があり、いつも追いかけっこしているからうつしたのではないかと心配してくださっていたらしい。
でも母は、触れてもいないのに、それはないと思うから心配しないでと、彼のお母さんに話したと言っていた。

どちらかといえば、幼稚園の時、幼稚園バスを一緒に待っていたSくんのことが大好きだった。
いつもいつも彼を見つめ、幼稚園のバスに乗ると、彼の横に座りたくて、彼の後に乗るようにしてた。
いつもピッタリくっついて歩いていたのを思い出す。

それに比べると、M学園でのKくんは、ちょっとそれとは違う感情だったので、一応建前は好きだということになってはいるけれど、幼稚園バスを一緒に待ってたSくんの方が本気で好きだったと思う。
ただ、幼稚園児に恋愛は…分かるのか〜^^;

因みに、幼稚園バスの彼はお医者になった。

…続く……🤎


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