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モンドリアンの新造形主義は、「意識高い系ラーメン」である

みなさん 突然ですが、ラーメンは好きですか? 私は、けっこう好きです。1位カレーライス、2位からあげ、3位カルボナーラ

駄菓子ばっか食ってる小学生にすら見下されるほど、
子どもじみた好物になっている私ですが、 そんな単純な舌を持ってるので、
好きなラーメンは?
と聞かれたら、
油そばとか、ニクマシの二郎系とか、そういう回答になってしまいます。


AIが作った二郎系ラーメン。麺ほそ!

そんな私が、いまいちよくわかっていないラーメンがあります。

意識高い系ラーメンです

名前は聞くし、なんとなくイメージはできているけど、
具体的にどんなラーメンかと聞かれると、納得のでる答えがでない、、
というか聞いたこともないし、正直興味を持つことがありませんでした。

いまいちよくわかっていないものは、美術の分野にも存在します。

現代美術です

AIが描いた現代美術。決してこういう画風をいじってるわけではありません。

美術の世界は好きです。
高校美術の教科書の内容ぐらいなら、ある程度エアプで語れるぐらい知識はあります。 とはいえ、現代美術だけはあまり好きになれませんでした。
現代美術には、明確な答えがない印象が多かったからです。
常に最適解が存在する現代義務教育を納めてきたので、答えが存在しない、
直感的に全然理解できない、人を選びそうな美術には苦手意識がありました。

ということで、美術に関する本を適当にパラパラめくり、現代に近づいてくると最初の方に必ず出てくる分野があります。

新造形主義

という分野です。
例えば、こんなやつです

「赤・青・黄のコンポジション, 1930」(ピートモンドリアン/wikipediaより)

縦横に引かれた黒い線と、その中に配置された赤、青、黄の色ブロックが
特徴的。
以前から新造形主義のアート作品を認識はしていました。

「あ~ハイハイ。考えるな、感じろ系のアートね。」


というぐらいであっさりスルーしていましたが
この画風の成り立ちを少し知ると、

「これ、完全に意識高い系ラーメンのムーブじゃん!」

という、わけわからん結論に至りました。

哲学のラーメン

これからあなたは、現代美術の話題になったとき 「モンドリアンの新造形主義って、今でいう意識高い系ラーメンのムーブみたいなもんだよね」 といえば、アートわかってる芸術センス深いやつアピールができます。

「コイツ、現代美術への造詣めっちゃ深いやん、、」

って思ってもらえるかもしれません。

近所のおじいちゃんにも、こんな尊敬のまなざしで見られます

新造形主義を深く知っている方にとっては、
このナメ腐ったガバガバ理論はブチ切れ案件だと思いますが、
ジョーク記事だと思ってお許しを。

そもそも意識高い系ラーメンとは?

556の専門辞書や国語辞典百科事典から一度に検索ができるという
Weblio辞典さんによると

品を追求した結果あらぬ方向に行ってしまったようなラーメンを揶揄まじりに指す言い方。
明確な定義があるわけではないが、材料、食べ方、盛り付け方などに作り手のこだわりが注ぎ込まれており、その分だけ一般消費者がラーメンに期待するイメージからはかけ離れているような有り様を指すことが多い。」

明確な定義はないみたいですね。
そりゃそうだ。意識高い低い、とか、ラーメンにどうドッキングさせるのか、とかっていうのは完全に個人的主観ですからね。
あるラーメンを見て、
「うわーこれ、こだわりすぎやん、、こういうのじゃないんよな~」
という人もいれば
「いや俺が求めてた究極のラーメンというのはまさにこれだ!」
と思う人もいるわけですしね。
当たり前の話でした。

まあこの定義にもある通り、この記事では
「作り手がこだわりすぎて、本来のラーメンのイメージからはかけ離れてしまって、お客さんが置いてけぼりになるラーメン。店主自己満足ラーメン」
みたいなノリでいきます。

モンドリアンの新造形主義とは?

新造形主義というのは
モンドリアンというオランダの画家が編み出した手法です。

絵をめちゃくちゃシンプルに、美しく描く方法。

たとえば、
「シンプルに、美しく、バランスよくイラストを描いて」
と依頼されたら、
皆さんならどんなものを描きますか??

私なら、、


AIに描いてもらった、シンプルに美しいお花。
AIに描いてもらった、シンプルで美しい女性。

私ならこんな感じで、
お花とか、女性とか、建築物とか

「事物(もの・こと)」を描きたくなりません?

一般的な感覚で絵を描くとなったら、どうしてもなにか
オブジェクトをメインに据えて、それを白や黒とか、
細い線とかで工夫しようと思ってしまいます。

一方モンドリアンは、

丸や三角などの形や、
赤・青・黄色の色だけを使って
絵を描きました

Tableau I, 1921(モンドリアン/wikipediaより引用)

モンドリアンの絵は、
一般的に描きたくなりがちな
自然や人
みたいなわかりやすい素材を
そのまま描くやり方ではありません。

四角や線、わずかな色だけで
めちゃくちゃシンプルに描きました。

これが「新造形主義」という考え方のもと生み出されたアート作品です。
最初私がこれを見たときは

「いや、とがってんな~~」

みたいな感じでした。
日本屈指のコント師であるジャルジャルは、
彼らの芸歴初期のころから、
黒Tシャツに短パンスタイル
真っ白な部屋
でコントをやっていて、周りの芸人からは
「めちゃくちゃとがってる」
と思われていたそうですが、、、
新造形主義にも、私は同じ印象をもちました。

とはいえ、こうなるに至った理由がきちんとありました。

根拠1:ミニマリズム

モンドリアンも、
最初は普通の絵を書いていました。

彼の初期の絵っぽくAIが描いています

「安心する~~~!!!!」

ちゃんと事物描かれると、アートの審美眼が一切ない私のような俗物的な人間は、非常に安堵してしまいます。絵画はわかりやすいほど親しみが持てる気がするので。

で、のちに彼はパリへ移住します。
そこで出会ったのが、こういう画風です。

フアン・グリス『ピカソの肖像』

「キュビズム」という画風です。
事物をいろんな角度から見て、それを1つの画面に収める、
という美術のスタイルです。
ピカソや、ジョルジュブラックが創始しました。
この独特かつ斬新なスタイルを見て、モンドリアンはこう思うわけです。

「俺もこんなオリジナリティある画風を生み出したい」

こうして、自分のスタイルを確立すべく、いろいろ頑張るわけです。
「ちょっとオリジナリティ出したいな~ 形に注目してみようか」
みたいな感じで。

彼の絵っぽくAIが描いています

こんな感じで次第に
余計な要素を削ぎ落とし始めました。
どんどんシンプルにしていき、削りに削った結果、、

「事物を描くの事態がナンセンスじゃね?」

「丸とか四角とか、形自体が一番ビューティフルじゃん!」

となるわけです。
ということでモンドリアンは

物を描くことをやめたわけです。


この理論こそ、彼の「新造形主義」というわけです。

このプロセスって、時代とともに様相が移り変わってきたラーメンと似ていると思うんですよね。
お湯をかけるだけでお腹を満たしてくれる、「チキンラーメン」(日清食品)が1958年に発売され、大ヒットしてから、めちゃくちゃ市民権を得るようになった「ラーメン」という存在。
1970年代以降、札幌の味噌ラーメン、福岡の豚骨ラーメン、福島の喜多方ラーメンなどのように、ラーメンは全国で独自のスタイルを持つようになり、
1990年代になると、無農薬の野菜やら特産品やらを使い、高級な昆布やカツオ節で出汁を取るお店が続々登場。自家製麺にこだわり、スープの仕込みに時間をかけて、複雑な味わいを追求する、、、、
「ラーメンもついにここまできたか、、」と当時のラーメン通は涙を禁じ得なかったでしょう。

そんな店主たちのこだわりはどんどん加速し、
「意識高い系ラーメン」
と揶揄されるほど強烈なラーメンが登場することになります。
素材の数を極限まで減らし、シンプルでこだわりの強いものへと進化。
極限まで不純物を取り除き、純粋な鶏ガラ出汁や植物性の出汁を使ったクリアなスープ、素材の風味を活かした自家製麺。ラーメンには必要不可欠と思われていた、チャーシューやメンマなどの具材は、どこかに消え失せてしまうか、別皿として提供されることになりました。

下の写真をご覧ください。

「澄まし麺ふくぼく」さんの一杯。

「完全にニュー麺やん、、!」

「これがうちのラーメンです」
といわれても、10回ぐらいは聞き返してしまいそうです。
ラーメンのパラダイムを覆す、アバンギャルドな作品。

まさに「ニュー麺」といえそうです。
二郎系ラーメンが麺、具材、油をこれでもかと足し合わせた、
究極の「足し算ラーメン」だとしたら、こちらは具材も油も一切ない、クリアなスープに細麺、という、
「引き算ラーメン」の極致って感じがします。

かなり優しい味わいのカツオの和風ダシのスープで、その分麺の小麦の香りが強く感じられる麺で、非常においしいとのこと。
うーん、めっちゃ気になる。食べてみたい!
でも個人的にはやっぱり
「具材がほしい、、、」
となってしまうんですよね汗

じぶんの理想を追い求めるために、
必要なものを最小限にまでそぎおとすというミニマリズム。
モンドリアンと意識高い系ラーメンの共通項といえそうです。

根拠2:こだわりの強さ

こだわりの強さも、共通項といえそうです。
ミニマリズムも、こだわりから派生した考え方ですね。

意識高い系ラーメンの哲学やこだわり

  • スープの水は、超軟水の「RO水」を使用。水道水なんて論外!

  • フランス料理風の皿に、3口分の麺と透き通ったスープ。

  • ラーメンの上にたんぽぽや菊がトッピング。食べるのか、鑑賞するのか?

  • 具材は別皿で提供。麺の上に飾る時代はおわりました。

  • 20秒で食べ終わる量。

  • 店員が麺、スープ、具材のこだわりを力説。

モンドリアンの哲学やこだわり

モンドリアンは、線や配置にめちゃくちゃこだわりました。
「世の中には秩序と調和があるはずだ!」と信じていた彼は、
めちゃくちゃキッチリした線と配置に気を配ります。
アフリカの国境線のようなキッチリ具合です。

そんなモンドリアンは、プライベートでもがっつり細かいところまでこだわる人でした。例えば、絵の配置をミリ単位で調整するなんて、普通の人には見えない世界が見えていたんでしょうね。「ここ、あと1ミリ右に!」とか言ってそう。まさに完璧主義者の鏡です。

部屋の中もめっちゃこだわっていたようです。線や色を徹底的に微調整した、こだわりまくりのマイルーム。僕がお客さんだったら、気を使いすぎて一歩も動けなくなりそう、、

ということで、両者かなりのこだわり屋さんだということがわかります。
意識高い系ラーメン、モンドリアン、両者に共通しているのは、、

  • 本質を追求し、余計なものを排除

  • ビジュアルに対する強烈なこだわり

  • 革新性と深い哲学性

まとめ

ということで、モンドリアンの画風って、意識高い系ラーメンと似てるな~
という下らない思いつきから書いたこの記事ですが、
どちらかといえば、ミニマリズム全般に対していえそうです。
僕には、美術の審美眼もなければ、デザインへのこだわりもありません。
生活も大雑把で、食べ物も適当です。
ですので、モンドリアンの画風の成り立ちを知ってもなお、
「難しいな~」
というのが正直な感想。
逆に、日ごろからこだわりが結構ある人や、ミニマリストには楽しめる作品かもしれません。
ぜひ、美術館などで鑑賞されてみて、帰りにラーメンでも食べてみてください。(小並)


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