余生
スナックでバイトを始めて4ヶ月目に到達した
今日はお客さんの話をしようかな
4ヶ月間週6で働いているから、常連さんの名前も覚えて、その人の人柄とか環境とか事情も知れることが多くなった
そんな常連さんの1人を紹介する
※以後Aさん
Aさんは週3以上は必ず1人で来店して、ロックグラスに芋焼酎を水割りで飲むのがお決まり
いつも隣のお客さんと仲良くしていたり、たまにお店で仲良くなった常連さんと会ったりしてすっごい嬉しそうにお喋りをする
来店した時他のスタッフとは「おかえりAさん!」『ただいま〜!』みたいな交わしをしているけど、ワタシがおしぼりを渡す時には「久しぶりですね!何年ぶりかな、、」『5年くらい?』「いや〜もっとじゃない?」っていう謎の交わしをする
カウンターでお菓子をボリボリ食べていると『なんか食べてる!!』とツッコんでくれる
笑顔か印象的で陽気な方だ
でも、命は長くないらしい
その方は、膵臓癌を患っている
膵臓癌って見つかった時点でほぼアウトらしく、スタッフの中に看護師が3人いるからみんなヒヤヒヤしながらお酒を作る
お店では病気の話は一切しないから、仲良くなる隣のお客さんはこの人が病気だとは一切わからない
スタッフもマスターから聞いているから知っているだけで、余命がどのくらいとか進行具合とか知らない
ただ、がん患者がお酒を飲むことはダメなくらいはわかっている
いつもお酒を作る時、『濃いめで!』と頼まれるけど、その人のひと時の満足よりも命を1日でも伸ばしてあげたいから薄く作ってあげる
でも、一気飲みしちゃうんだ
先日、始めて病気のことが話題に出た
Aさんの息子さんは来年度から大学生になるらしく、その日一緒にスーツを買いに行って、晩に1人でお店に来てスーツを買った話を楽しそうに話してくれた
息子さんとワタシは3つしか変わらないんだな〜とか思いながら、「息子さんも成人したら連れてきてくださいよ〜」って言ったら、『息子にはお店に来ていることを内緒にしてるんだ、俺お酒禁止だから怒られちゃう』って
本当は深く知りたいけど、どこからが地雷か分からないし、本人もあまり気にしてほしくないだろうなと思って、ワタシは軽い合図地でその話を終わらせた
Aさんは昔のソウルミュージックが大好きでマスターと音楽の話をしてから、カラオケではサザンを歌う
ロックな歌声がとても好き
お酒を飲みながら大好きな歌を歌っている姿を見るととても幸せそうで、人間として子供目線としてついAさんを見てしまうと目が滲む
なんならこっそり泣いてることもある
ワタシのお店は年配が多いから毎年常連の1人は亡くなるんだって
毎月毎週来る人が急に来なくなったり、病院に運ばれたっていう噂が回ってきたりは、働いてから4ヶ月の間で何件かあった
どうかその中の1人にならないでほしい
ワタシがあと何ヶ月、何年、何十年ここで働くかは全く分からないけど、10年後「ワタシも30代になりましたよ〜」話したい
けど、お酒を飲むことは決して止めない
本人しか知らない残りの余生を大事にしてほしいから
もしもの事があってお店に一生来れない事を知った時泣いちゃうだろうな、
スナックで働いていると21歳で人生に悩んでいることがちっぽけに感じる
死ぬまでの暇つぶしだと思ってもう少し生きてみようと考え直すことが多くある
とりま掛け持ちのホテルはやーめよっと
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