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不動産知識をつけたい人にイチオシの漫画

本を読みまくっていた学生時代に大好きだった雑誌、”ダヴィンチ”のWeb記事で紹介されていた漫画を読んだのですが。”これはすごい!!”と驚くクオリティだったので、ご紹介します。

「正直不動産」という、若いやり手の不動産営業マンが主人公の話で、題名からかなりブラックなユーモアがあるなと思って惹かれたのですが。「主人公が祟りで嘘がつけなくなってしまう」という設定以外はリアルすぎる内容で、少しだけ不動産業界にいた事がある自分は「こういうの、あるー!」というデジャブの嵐でした。

不動産業界は「表と裏」や「本音と建て前」の差が激しい業界です。そして「業界のカラクリ」をオープンにして買い手を賢くしてしまうと儲からない、という考えからお客様に「実は、、、」な部分を話してくれる営業マンは希少です。この漫画はルポライターでノンフィクションの著書もある方が原作なだけあって、非常にリアルなストーリーで不動産業界の裏側を描いていて、「悪徳業者から恨まれるのでは?」と心配になる程でした。

ストーリーの面白さもさることながら、不動産の法律や基礎知識も分かりやすく解説されていて、この内容をしっかり理解すれば相当なレベルの知識がつきます。不動産投資を目的に宅建取得を考える方もいるようですが。現実的な知識を得るという観点からは、宅建の勉強よりもこちらの方がはるかに役立ちます。(正直、宅建の知識って"教科書通りの建て前"でしかないので・・・)

唯一ツッコミたくなった部分は、主人公が中小企業で賃貸と売買の両方をやっている設定だったのですが。一般的にはかなり小規模な不動産屋以外は賃貸か売買どちらかに特化した営業マンが普通だと思います。まぁ、それは漫画という手法上仕方ないのかなと。

逆に特にリアルだなと思ったのが「登場人物に訳アリの人が多い」という部分です。不動産営業は非常にハードな事が多い為、生半可なモチベーションでは続かないです。知名度のある優良大手企業以外は普通「ワークライフバランスって何のこと?」ですし、上司に怒鳴られて「パワハラ」と思う感覚だと無理だと思います。そのため「絶対高給を稼ぎたい」「何らかの理由で他の業界に就職しにくい」という人が残りやすいです。そのためブラックになりやすい循環が出来上がっており、漫画に出てくる大手企業なら即パワハラ認定されるような言動は決して大げさではありません。自分は不動産業界といっても営業ではなかったのですが。長らく営業をしている人からは、もっとドン引きする「それ、パワハラを通りこして犯罪では・・・?」と思うエピソードを聞いたりしました。

家を買う時だけでなく借りる時にも役立つ情報が満載なので、読んでおいて損はないと思います。不動産投資をしたいと思う人には全巻読破をお勧めしますが、読み終わって不動産投資のモチベーションがキープできるかは保証できません(笑)

近年ではかぼちゃの馬車事件が大きく報道されましたが。小さな不動産詐欺は、そこらじゅうに転がっています。大手メーカーの新築物件(個人的には非常に割高で買う気がしないのですが)が「安心を買う」という意味で人気なのは、そのせいなのでしょう。でも消費者の知識や情報量が増える事で「手ごわい客」多くなれば、不動産業界の闇も少しマシになるのではと思えました。


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