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本当に恐ろしい「仲良しくらぶ」

今回は失敗話です
社内SEからコンサルタント会社に転職して最初と最後の仕事が「仲良しくらぶ」のお付き合いだったお話です

クライアントは新聞の一面を飾るほどの大失敗をしてしまったメーカーでした
現場は大きく混乱し事業は大赤字、大量の真水を投入してやっと出血が止まる目処がたったという状況でした
プロジェクト管理が適切に行われていないという経営トップの指摘に、まるでアリのように管理職たちが群がり、事業組織のあらゆる部門が「プロジェクトマネジメント改革・改善」の目標を掲げることになりました

実際は、身の丈にあった受注ができなかったことが本質的な問題で、事実、クライアントは現場が完了して程なくその事業から撤退しました
現場に任せても問題解消できないと経営トップにレッテルを貼られてしまったわけです

さて、少し時間を戻して、クライアントの改革・改善取りまとめ担当管理職は花形である技術のキャリアから外れてしまったばかりの方でした
おそらく起死回生のチャンスと感じたのでしょうで
プロジェクトマネジメントに明るい以前私が属していたコンサルタント会社に協力を依頼し組織全体で取り組む計画を立て実行することになりました

しかし、経営トップからは上述のとおりそもそも疑念を持たれ、かつ組織内のメンバーは経営に対して自部門で結果が出せれば十分と考え、形式的な協力しかしてくれません
通常ならこのような活動はフェードアウトを迎えますが、キャリアがかかっている担当は、なんとコンサルタントを増員しそこで活動するという選択をするのです
「仲良しくらぶ」の結成です

なんとなく改善が進んでいる体で進むのですが、「仲良しくらぶ」には業務知識が無いので具体化のフェーズになると活動が滞るようになりました
私は、そんな中、業務知識があるコンサルとして参画、初めてのコンサルタント業務なので違和感を感じつつも、設計や現場のデータから具体的な改善策をまとめました
これがクライアントには気に入らなかったようです
私の契約はあっという間に切られました(今振り返ると私のやり方も悪かったなぁと思ってます)

さて、数年が過ぎて「困っているから助けてほしい」と「仲良しくらぶ」のコンサルタント責任者から依頼が来ます
嫌だなと思いつつも次のクライアントが見つかるまでなら再度参画しました

そこで目にしたのは、事業組織全体のプロジェクト管理改革・改善活動だったものが、担当管理職が属する組織内に限定した改善活動の1テーマとして亡霊のように生き残っている姿でした
「仲良しくらぶ」は健在で、現場の要員1名を1年雇える費用がわずか2ヶ月で消費されていました
しかも1部門の改善活動の1テーマのだけのために

程なくして私はその会社を辞めました
幸運にも経験豊かな人に出会えコンサルタントとしての振る舞いや考え方を会得できていたこと、
かつ「仲良しくらぶ」を結成することが高い評価につながるという事実を知ってしまった、
という理由からです

その後、クライアントは事業組織ごと分社化され業界ではジリ貧のポジションに
それでも「仲良しくらぶ」は健在とのこと

皆さんのまわりにも「仲良しくらぶ」ありませんか
思っている以上にしぶといですよ
そして危険な存在ですよ
何せ生活がかかっているのですから

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