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読書日記(2)

こんにちは、村崎沙貴です。読書日記第二回。今回紹介するのは、角川つばさ文庫の人気シリーズ「いみちぇん!」の作者であるあさばみゆきさんの「茶寮かみくらの偽花嫁」です。「かみくら」(私は今回紹介する作品を勝手にこう略して呼んでいます)は、角川文庫キャラクター文芸から出版されています。

この物語の舞台は現代の鎌倉。お腹がすいてしょっちゅう倒れるという謎の虚弱体質の高校生・大島小鳥は、いつも通り倒れたところを美貌の料理人・坂頼兼に助けられる。そしていきなり結婚を迫られる。こんな意味不明の唐突な展開で幕を開けます。そして次のシーンがいきなり頼兼と結婚して坂小鳥となった小鳥が高校から頼兼の店・茶寮かみくらに帰るというもの。もう何がなんだかという感じですが、それは小鳥も同じみたい。最初は頼兼を警戒し、疑いまくっています。しかし物語が進むにつれ頼兼の意味不明な言動の理由が少しづつわかってきます。まあ、それでもミステリアスな印象は残り続けるのですが。ネタバレになりそうなのであまり詳しいことは言えません。しかし、あらすじ紹介にはごはんと怪異の結婚譚と書いてあり、まさにその言葉通りの話です。

あさばみゆきさんの物語の魅力は言葉。ポップで読みやすい文章と日本らしい少し遠回しで趣のある表現がうまく融合しています。「かみくら」ではいにしえから受け継がれてきた、食べ物を通した日本人の縁起担ぎについての豆知識がたくさん出てきます。それが世界観やキャラの魅力を引き立てているんです。あさばみゆきさんの小説では豆知識を通して物語に深みを出すこの手法が多く使われています。

「かみくら」のもう一つの特徴として、実際にある店や観光スポットが多く登場するということがあります。物語を楽しんだ後に聖地巡りとしてかみくらスポットに行ったら、普通に行くよりその場所が楽しめると思います。まあ、私がこの本について知ったときはちょうど旅行で鎌倉にいて、本がほしいと思いつつ、かみくらスポット巡りの方を物語を読むより先にしちゃったんですが。

「かみくら」を読んだ後は、いつものごはんがとても美味しく感じました。まだ読んだことのない方はぜひ読んでみてください。