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梅開花

春の夜の闇はあやなし
梅の花色こそ見えね香やはかくるる

古今和歌集

 この和歌、大げさな気がするという人もいるかもしれません。しかし私は、これが感じたままを詠んでいるものだと思います。
 我が家の庭で、白梅が開花しました。雪と見紛う白い花弁。風雅な香りが少し離れた門扉の所にまでほんのり届くのです。
 話を戻します。
 この和歌が、最近読んだ小説で使われていました。私の住む地域では、ちょうど今が梅の盛り。しかも、庭に白梅があったり、親の実家の家紋が梅を模したものだったり。私は梅と縁が深いのです。それもあって、小説の中でこの和歌を見つけた時、しみじみと感じ入りました。
 「闇はあやなし」っていう響きがなんとなく綺麗だと思います。
 梅を詠んだ和歌の中では、これが一番のお気に入りです。 

 梅に関してもうひとつ。

東風吹かば匂いおこせよ梅の花
主なしとて春な忘れそ

宝物集

 

 拾遺和歌集では「春な忘れそ」の部分が「春を忘るな」となっているそうです。しかし私には「春な忘れそ」の方が馴染みがあります。
 菅原道真の飛梅伝説は有名ですよね。太宰府天満宮の飛梅を見たことがありますか? 私は天満宮に詣でた経験はありますが、花の季節に行ったことがありません。いつか行ってみたいです。

 
 白梅の清らかさと、紅梅の妖艶さ。どちらも甲乙つけがたいですよね。
 私は白梅が好みですが、皆さんはどうでしょう?