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村崎沙貴
2023年11月19日 16:11
咎の醜女 妙は今日も、獄中で、変わり映えのしない光景を眺めていた。 無骨で、じめじめとした空間。時折聞こえてくるのは、陰気な呻きやすすり泣き、怒鳴り声、叫び。不快と悲痛の巣窟。 心安らぐものなど何ひとつ存在しない。そう、疑いなく信じ込みそうになる。 実際、妙自身もそうだったのだ。少し前までは暗い思い込みに囚われ、絶望に塗り潰されていた。 あの日からだ。一筋の希望が心の片隅を照らし、未来と