だいちゃんのこと③
だいちゃんのお腹の不調が現れ始めたのが5月中旬。
それから暫くした6月上旬に、レンタル元さんから「だいちゃんと水君が出張に行くことになりました」とお知らせを受けました。
え?
だいちゃん、お腹の調子イマイチだよ…それまでにしっかり治さないと
一番に思ったのがそのことでした。
出発は8月23日頃。これから暑さが厳しくなるのに大丈夫かな…
6月上旬で既に高温多湿。
だいちゃんも日中は殆ど日陰で過ごし、他の4匹が外に出ていてもじっと体力温存している様子でした。
他の4匹に隠れて、黒糖を溶かしたお水や米糠のお団子を作ってだいちゃんにそっとあげていた日が続きました。お腹の調子は一進一退。
お医者様に診て頂いて、お薬も頂いたのに、目覚ましい回復という事が見られず不安は募るばかり。
日によってはうんちが固まってポロポロの日もありましたが、多くはぼた餅のような状態でした。おかしい…絶対おかしい…
この頃からだいちゃんが少しずつ痩せて行ったように思います。
そりゃそうですよね。
食べても食べても吸収されないのだもの…
そこで、もう一度獣医さんに来て頂いて検便して貰い、お腹のお薬を頂いたのでした。
検便の結果は白。特に虫もいなかったとの事…
でも、でも、でも…
おかしいよ!
このままだいちゃんを出張に出すのはやっぱりとても不安でした。
私は毎日のようにレンタル元さんにだいちゃんのお腹の様子を伝えていました。7月に入ってうんちが固まる日が増えていました。
改善されたのかな?でも理由はなに?同じ草を食べているチョウロウ達は全く大丈夫なのに…?
そして、この時はまだ不調な子が一緒にいると他の子にも影響が出るかもという事にさえ私は気付けていなかった。でも毎日床を綺麗に掃除して、とにかくこれ以上酷くならないでと願うばかり。
7月下旬頃から…
だいちゃんが一人でいる事が多くなりました。
他の4匹についていけない、という風に感じました。
眺めの良い場所で他の4匹を眺めているだいちゃんの隣に座ってブラッシングしたり撫でながら話しかけたり…出来るだけだいちゃんの傍にいるようにしていました。
その間も、レンタル元の方にはだいちゃんの様子は伝え続けていました。でも出張取りやめ、という判断の声は聞く事はできませんでした。
そして、8月23日…
だいちゃんと水君は出張先に出かけて行きました。だいちゃんのお腹は前日にやっとコロコロうんちになったばかりでした。
出張は長期になると聞いていたので、何とかそこの環境に馴染み、大切にされて元気な状態で帰ってきて欲しいと願うしかなかった。
そしてここでもヤギって、凄い動物だなと心打たれる出来事がありました。
二匹が連れて行かれるその時のこと。
この日の事を思い出すと、今でも心が引き裂かれそうな思いになります。
だいちゃんと水君がお迎えの車に乗って行くとき(二匹ともとても嫌がっていました)
大人しい二匹が、リードを付けられながら足を踏ん張って進むまいと…
チョウロウ、海、凪は今までに聞いた事もない鳴き声を上げて、二匹の乗せられた車にの傍に来ました。追いかけて、柵を飛び越えて出てくるんじゃないかと思う勢いでした。
チョウロウの鳴き声が
「どうして!どうして!」
という悲しさと怒りに満ちていました。
海と凪もひたすら鳴きながら、二匹を乗せた車が見えなくなるまで見送っていたのです。悲しくて直視できなかった。
でもチョウロウ達からだいちゃん達を奪ったのは私でもあるわけで…
チョウロウ、海、凪に何度も何度もごめんねと謝りました…
だいちゃんと水君が行ってしまった後、三匹はしょんぼりと敷地の中を歩き回って、一番眺めの良い場所で立ち尽くしていました。
だいちゃんがよく座っていた場所…
だいちゃん達の姿を探していたのだと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?