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自由詩: 黒ネコの昼寝

ある日の午後 車を駐車場から出そうとした
車の少し前に 黒いネコが気持ちよさそうに寝ていた

どうしようかな
ゆっくりと車を近づけた
黒ネコは気が付かないふりをしていた

起きてくれないかな
軽くクラクションを鳴らした
眠そうにうっすらと目を開けた
早くそこをどいてくれないかな

知らん顔をして また目を閉じて眠り始めた
少し大きめにクラクションを鳴らした
目を開けると、少しにらみながらこちらを見た
うるいさいわね
見たらわかるでしょ 私は昼寝をしているのよ

そんなこと分かっているよ じゃまなんだよ 
早くそこをどけてくれ

安眠妨害よ せっかく気持ち良く寝ていたのに 
私を起こしておいて そんな言い方はないでしょう

もう一度クラクションを鳴らした

まったくムカツク人間だこと
でも ひかれたらいやだから ここを立ち去るとしようか

ふてくされ顔をして 黒ネコはしぶしぶ 
ノッソノッソと歩き始めた

次の日、車に乗ろうとしたら
あの黒ネコが車のすぐ後ろで寝ていた
まあ、いいか
黒ネコを起こさないように 静かに車を動かした

黒ネコはうっすらと目を開けると 呟いた
この人間 すこしは配慮という言葉が分かるようだわ

※以前、このNoteに投稿した作品を書き直して、再投稿します。


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