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少年野球⑤:勝利至上主義とチームの底上げの両立は。。

毎週の土日と祝日、チームは休みなく活動。
で、その殆どが試合。午前午後合わせ2試合、多い時は3試合もある。
公式戦は勝ちに行くので、当然ながらベストメンバーで臨む。そして練習試合でさえも、公式戦に向けたレギュラー陣の調整の場となり、控え組には殆ど出場機会は与えられない。
メンバーに等しく経験を積ませてチーム全体を底上げしようという意図は、監督・コーチの言動からは残念ながら感じられないのである。

控え組でも、うちの息子を含め5年生はまだ来年があるけれど、6年生はそうはいかない。
なのに、既に見限られたかのような扱いを受ける控え組の子が何人もいて、傍で見ていても辛い。
特に気の毒だったのは、6年生の「控え捕手」。
重い防具一式を担いで毎週チームに帯同しても、試合でマスクをかぶるのは、イニング交代時とブルペンでの投球練習時のみ。
そもそも正捕手は「主将で四番打者」だから、試合途中で怪我した時ですら代えないし、その子が他の守備位置に回る時は、他のレギュラーの子が捕手を務めた。
そう、監督・コーチにとって、彼は試合で起用されうる「控え捕手」要員ではなく、所詮は「ブルペン捕手」だったのだ。
あまりに不憫な扱いに同情し、陰ながら「負けるな!」と応援したものである。

実力主義故に仕方ないとは、頭ではわかる。
でも、どんなに真面目に活動に参加しても、試合には一向に出られないし、練習すらろくにできないのだから、モチベーションの維持は難しく、心では受け入れられない。
控え組のうちの息子。毎週ベンチで大きな声で健気に応援、イニング交代時のキャッチボールを率先してやる等で頑張っていても、殆どの日はそれで終わり。家に帰って「練習したい」とボソッと吐露する日々。
なにしろ、小学生なのだ。これでいいのか?

「試合を見るのも勉強」「ベンチからチームを盛り上げろ」なんてコーチの言葉は、空虚に響く。
出てもいない試合の後に「今日の試合どうだった?」とコーチに聞かれたところで、正直答えようがない。
ましてや敗戦後に、連帯責任を問うが如く精神論的な説教までされようものなら、他人事にしか思えず、ふざけないでくれと思うのが普通だろう。

とにかく毎週試合オンリーだから、レギュラーの子は実戦経験を積む一方で、控え組は試合どころか練習の機会すら奪われ、むしろ下手になっていく。
その結果何が起こるか?
6年生・5年生各々のチームメイト間で否が応でもレギュラーと控えが分断され、一体感が失われるのだ。
レギュラー組が控え組を用具係のように使う光景まであり、苦々しく見ていた。
試合で勝つため一部の子だけ引き上げ叱咤激励するのではなく、本来なら上の写真のように、チームメイト全員で常に輪になって、共に話し励ましあう雰囲気を作ることが、少年野球チームの監督コーチの本来の役割ではないのか?

そんな思いと裏腹に、ついにあるコーチから「週末の試合は、平日の自主練の成果を発表する場だ」なんて言葉まで出た。
チーム全体練習での技術向上は要らない、ベストメンバーでの目先の勝利優先、下手な子には構っていられない、練習は自分で勝手にやれという声に聞こえ、愕然としたのでありました。
所詮は勝利至上主義とチーム全体の底上げは相容れず、両立は元々叶わないのでしょうね。。

そうこうしているうちに夏、秋と時は過ぎ、6年生はいよいよ卒団。2023年度は我が息子を含めた新6年生が中心になる、新生Aチームになります。
そして、ひたすら試合の従来の活動方針に疑問を持ち、控え組の不遇にも思いが至るコーチもいるのが救い。

そのコーチ。夏のある日、我が息子を含む4人の控え組をレギュラー組の帯同から解放し、別のグランドで特別に練習の相手をしてくれた。
その時は私も、ド素人ながらグラブはめ、ノックや打撃練習をお手伝い。
練習時間は短かったけれど、子供たちが久々楽しそうに白球を追う姿が見られて、非常に充実した日になった。

新生Aチーム。こんなコーチがいてくれるのだから、先輩ほどは結果は出せないかもしれないけれど、チーム全員の一体感を武器に頑張ってくれるはずと期待している。

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