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1人目は女の子がいい神話

ってまだあるんでしょうか?
私が生まれた時は当たり前のように言われてきた言葉。

何故このことを改めて思い出したのかというと最近妊娠出産した友人達と会ったから。
きっと産まなければ、育てなければ、分からないことって山ほどある。
でも私にそれはできないからこうしたちっちゃいモヤモヤってずっと傍にあり続けるのかもしれない。


1人は女の子、もう1人は男の子の親になった

その2人がちょっと落ち着いたので久々にランチでもという話が纏まった。
久々に会う2人は昔の面影を残しつつ、すごく幸せそうで私はとても嬉しかった。
妊娠出産育児のことが分からなくても2人の話をたくさん聞くぞ!という気持ちで私は席に着いた。
最初は他愛もない近況報告。
そこからどう発展したのか
「1人目は女の子がいいって言うよね」
と1人が言い出した。
男の子のママだ。
彼女曰く「男の子は結局嫁に取られて帰省も自由にできないって言うじゃない?私が育てるのに理不尽~」とのこと。
それを聞いた女の子ママも「私は女の子だったから安心だ。もう1人女の子狙いで産みなよ!」と盛り上がる。
「1人目女の子ってやっぱり楽?」
「まだよく分かんないけどお手伝いとか頼みやすそうだよね」
「2人目産んでも可愛がってお世話してくれるって聞くし!」などなど……
私はその間、ニコニコ聞いているしかできなかった。

現場に出ていた頃

私は子どもに携わる仕事をしている。
だが今は現場に毎日出ている訳じゃない。
なので私が現場に出ていた頃の話になるが1人目女の子、2人目男の子のママになった方がいた。
ちょうど2人目を妊娠している時に相談室を利用されることになった。
そこでそのママさんは「男の子を可愛いと思う自信がない」と泣いた。
ホルモンバランスなどの関係もあったのだろう。
けど「1人目は女の子で、すごく育てやすくて……でも男の子は力も強くて乱暴だって言うし…授乳とかが既に気持ち悪くて…」と。
まだ生まれてきてもいないのに世間のいう「男の子」のイメージが彼女をマイナス思考にさせた。
最終無事男の子を出産。
2人とも3歳頃まで関わる機会があった。
乱暴とかそういう方向ではなかったがお姉ちゃんの方がずっと手のかかる子だった。
弟くんはいつも穏やかで所謂愛されっ子。
あれだけ男の子は嫌だと嘆いたお母さんも男の子が可愛くて仕方ないということを話していた。
仕事柄不安には当然寄り添う。
でもずっと一緒に子育てをしていけるわけではない。
最終親が気付き、前に進むしかない。
むしろそこで依存関係に陥ってしまったら自分達支援側の仕事としては失敗だと考えている。(過去にそういう例も見てきた)
彼女は最終的には上の子にも下の子にも愛情を注げる素敵なママさんになった。

女の子は育てやすくて、男の子は育てにくい?

繰り返すが私は妊娠出産育児の経験はない。
なので「体験した人にしか分からない」のは百も承知だ。
多くの人が実体験を経て得た実感なのかもしれない。
それでも上記の言葉には疑問が浮かぶ。
実際私は女の子なのに育てづらい子どもだったとずっと言われてきた。
問題行動を度々起こすとかではなく、どちらかと言えばおとなしかった。
母の求めるままに家事を手伝い、どんどん生まれる弟や妹の面倒も見た。
もっと年齢が上がった頃には掃除洗濯食事を作ったりもした。
けど「女は愛嬌なのにそれがゼロだった」と言うのだ。
そして下に産まれた甘え上手な男の子と比較する。
「アンタもこれくらい可愛げがあったらね~」は親だけじゃなく、親戚も言っていた。
幼い私は「私は可愛くないんだ」と受け取った。
確かに子どもらしさはなかったと思う。
極度の人見知りで、いつも無表情。
何かを買ってもらっても、どこかに連れて行ってもらってもとにかくいつもと違う行動に対する不安から「いつ帰るの?」と繰り返した。
母が求めた「1人目の女の子」としての役割はこなした。
けど不愛想という1点のみで「女の子って育てやすいって聞いたのにね~」と残念がられる対象になってしまった。
大人の思い描く「育てやすい女の子」からちょっとだけ逸れただけなのに。
年齢一桁の子どもに大の大人が何を期待しているのか。
そういう対象じゃないだろうと思うがここはなかなか相互理解が難しいらしい。

女の子も男の子も「1人の人間」

ということを忘れてほしくないと思う。
男女平等と言いながら全くそうじゃない。
「男の子は~」「女の子は~」が普通の会話でまだまだ出てくるのだ。
しかもものすごく上の世代とかじゃない。
20代、30代の人からも聞くことがビックリだ。
もちろん性差というものがあり、それぞれ特有のものはあるのだろう。
でもついこのあいだ生を受けたばかりの我が子をそれに当てはめる必要はあるのだろうか?
カテゴライズされている方が安心するというのも大きいのかもしれないが……。
+子どもはあなたの所有物じゃない。
いくらお腹を痛めて、命懸けで産んでも。
お金をかけて立派に育てても。

笑顔で「またね」

まだ小さい子ども達のことを考えて早め解散となった。
結局未婚既婚、子なし子ありの溝が深まっただけのような気がしないでもないが子ども達は本当に本当に可愛かった。
男の子も女の子も。
友達と久々に再会できたことも純粋に嬉しかった。
こちらが「ん?」と思ったところはあれどどちらも愛情いっぱいに育ててもらえればいい。
「またね」と別れたがきっと生活リズムも大きく変わって、近々再会なんてことはないだろう。
母子ともに健やかに、父親も含めて素敵な家庭を築けますように。


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