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性行為を強要した人と私の関係性。性被害の内容。

※具体的な性被害に関する描写が出てきます。トラウマをお持ちの方はこの先に進まないようお気を付けください。

くれぐれも閲覧は自己責任でよろしくお願い致します。


今回は私に性行為を強要した人のことを書きたいと思います。
彼女はサークルの中心人物でした。
誰にでも優しく、明るく、頼りになる人。
まさに「リーダー」でした。
以下彼女のことは「X」と呼ぼうと思います。
サークル自体はそこそこ人数がいて、みんなXと仲良くなりたかった。
その憧れの的となっているXは私がサークルに加入するとほぼ同時に積極的に話しかけてくれるようになりました。
最初はあまりのフランクさに戸惑いました、。
でも挨拶をしてくれる、笑顔で接してくれる、私のことを「好き」「可愛い」と毎日褒めてくれる・・・それも続けば日常になります。
私の中でも「Xにとって私はお気に入りで、可愛い後輩なんだ」という今までにない優越感のようなものが生まれました。
周囲に妬まれることももちろんあったのですがXがほぼほぼ側にいたので直接的な嫌がらせというのはなかったように思います。
X自身も自分の人気を理解していて「何かあったらすぐに言うんだよ」と言ってくれていました。
最初はサークルメンバーみんなと遊んでいましたが次第にXと二人で会うようになりました。
家に居場所がなかった私はXと過ごす時間が心地よく、依存と友情を勘違いしたまま仲を深めていきました。
その頃には「Xはレズビアンだ」「性同一障害だ」という噂があり、私の耳にも入りました。
けれど私にとってのXは尊敬できる先輩で、年齢は違うけど友人でした。
「噂を知っていたのに二人で会っていたのか」という疑問はあるかもしれませんが告白をされた訳でもなし、仲良くなるのに性的志向など気にしたこともない私は自分自身は「親友枠」くらいに考えていました。
実際Xから「好きな人がいる」と打ち明けられ、その相手は私ではありませんでした。
親身に相談に乗ったし、恋愛成就の手助けをしたこともあります。(相手は女性だったのでその当時のXは女性が好きだったのでしょう)
まもなく二人は付き合い出し、三人で遊ぶことも多くなりました。

ある日、Xの恋人がバイトで先に帰宅しました。
私とXはいつも通り二人で遊ぶことになり、カラオケに行きました。
ドリンクなどの準備を済ませ、いざ歌おうとした時です。
私はXにものすごい力で押し倒され、無理矢理キスをされました。
小柄な私と女性の平均より大きいX。
力では絶対にかないません。そして声も出ないのです。
何度もキスをしようとするXから必死で顔を背けるので精いっぱい。
すると嘘のようにXの性格が豹変し、舌打ち。
更に全体重をかけて私を抑え込み、顔やら首筋やらを舐め回されたのです。
そして強引に服をたくし上げて胸を揉む、下着の隙間から指を入れて性器に触れる・・・完全に強姦です。
「気持ちいい?」とか「濡れてる」とか言っていたような気がしますが私はただただパニック状態。
とにかく気持ち悪く、嵐が過ぎ去るのをやり過ごすしかありませんでした。
タイミングよく隣の部屋に店員が入ったらしく、その声に気を取られた一瞬で私はお金も払わずに逃げ出しました。
歩きながらか走りながらか何とか服装を整え、帰宅して即シャワーを浴びました。
それでも女性に強姦された事実は変わりません。
もちろん家族にも言えません。
「体調が良くないから」と早めに休むしかできませんでした。
しかしこの時はカラオケ代を払わなかったこと、Xを強引に振り切ってしまったことへの罪悪感がありました。
明日からどうやって生きていこう。
Xに嫌われてしまったら私はまた独りぼっちだ。
そして今までXに守られていたから起きなかったイジメに遭うかもしれない。
そんなことばかり考えて眠れない夜を過ごしました。
性被害当日から数日は「熱っぽい」と言って外に出ませんでした。
私の出した結論は「もう学校にも行けない」でした。
また不登校再開です。
家族は「中学校の時に甘やかしたから逃げ癖がついた」とただただ呆れていました。
私に何が起こったのかも知らずに。(言わないのだから知らないのは当然ですが不登校再開の理由すら尋ねてもきませんでした)
携帯にはXとその恋人からおびただしい数の着信。
恐ろしくて電源を切って過ごしていたら同時期に家族が連絡をしていたらしく、電源を切るなと叱られました。
もう逃げ場はない、このまま自分で自分を終わらせてしまおうかと考えましたが結局できませんでした。
更に数日後、陰部が猛烈に痛痒くなりました。
思い当たることはXとの一件のみ。
我慢できず、産婦人科を受診。
診断名は「ヘルペス」。性感染症の一種です。
そこで私は今まで感じたことのないような怒りを覚えました。
同意のない性行為に及ばれた上に病気まで発症したのです。
私は何が悪かった?
Xがレズビアンという噂を知ってたのに友達付き合いをしていたこと?
Xに恋人ができてからも一緒に遊んでいたこと?
二人きりでカラオケに行ったこと?
個人的にはどれも「悪い」とは思えませんでした。
その夜、Xの恋人から再び着信がありました。
勢いに任せて電話に出ると彼女は泣いていました。
Xに別れを告げられたこと、Xが複数の男女と性的関係を持っていたこと、女性相手にはかなり強引に迫っていたこと、そしてついさっきXに合意のない性行為を迫られたこと。
この時「私も被害者だよ」と言えていたら何かが変わっていたのでしょうか。
でも私は言えなかった。
ただひたすら泣きじゃくるXの元恋人を慰め、電話を切りました。
そして自らXに電話をしました。
Xはいつもと変わらない調子で電話に出たので「あなたのせいで私は性感染症になりました。治療が必要なのでお金をください」と淡々と話しました。
電話は一方的に切られ、それっきり。
今現在に至るまで家族に雑に扱われる一因になった「学校中退」もこの時に決めました。
何としてでも二度とXに会いたくなかった。
でも誰かに被害を明かし、何とかしてもらうなんてのもまっぴらごめんだった。
私が決めたことと言えばそうです。
でもXから受けた性被害によって私の人生は大きく変わりました。
複数の精神疾患を患い、社会復帰に要した時間は果てしないものです。
普通という言葉はあまり好きじゃないですが性被害に遭わず生きてきた人が得られた楽しみを私は知らない。
人が近くに来るだけで体が強張る。
幾ら親しくなっても身体的接触なんててもってのほか。
私が都合よくそこにいたからXは手を出したに過ぎないのでしょう。
今思えば彼女は性依存症で治療の対象だったのだろうと感じます。
しかし被害に遭った人間からすれば知ったこっちゃないのです。
Xも苦しかったのかもしれない。
でも私も苦しかった。いや、今も苦しいです。


数年前、Xから結婚式の招待状が届きました。(私は様々な事情でずっと実家暮らしなので学生時代と住所氏名が同じ)
お腹には既に第一子がいる、と。
「親友であるあなたに是非出席して欲しい」と。
Xはあの時のことを忘れてしまったのでしょうか。
私は当然欠席のお返事をしました。
Xにとって私は大勢の中の一人だった。ただそれだけのこと。
よく加害者は加害自体を忘れていると言いますよね。
本当にそのパターンで驚きが隠せませんでした。
自分が強姦した女性を結婚式という場に呼ぶのか、と。
後々聞いた話では旦那様はご友人が多く、Xはよくない噂が広がって呼ぶ人がいなかったのではないかということでした。
だからと言って私を呼ぶのか……その神経が信じられませんでした。
Xには私は会場を飾るその日限りの装飾と同じなの意でしょう。
周囲が口をそろえて「いい人」と言っていた旦那様はXが複数人に合意を得ずに性行為を行ってきたことを当然ご存じないでしょう。
その素敵な人に選ばれたXはやはり素敵な人だったのでしょうか。
結婚式が終了した後に「どうしても貴方に贈りたかった」とブーケが送られてきました。
ブーケトスは行わなかった模様。
何故そこまでして?
Xなりの罪滅ぼしだったのか……未だに答えは出ません。
更に私との繋がりなんてもうどうでもいいはずなのに第二子、第三子と律儀に年賀状で知らせが来ました。
私は第三子の時に一度だけ「年賀状しまいをするのでもう送らないでください」とお返事をしました。
Xの新しいご家族の幸福を願う一文と共に。
その後はコンタクトはなく、ほっとしています。
私は今でもあの日のことを鮮明に思い出せます。
かけらも思い出さないだろうXには私の目に触れないところで「普通」に生きていって欲しいと思います。
彼女の不幸を願ってしまったらそれこそ私が私をもっと嫌いになるだろうから。

性被害の残酷さがほんのわずかでも伝われば、と思います。

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