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《書籍紹介》めんどくさがりな君のための文章教室

✱著作権対策のために、文章を改変していますが、構成や内容はほぼ同じになるよう努めています。



文章力は、まだない。

中学生の文岡タケシが奇妙な猫と会ったのは、春休みのことだった。
友達の家に行った帰り、近道の神社を通っていた時にその猫を見つけた。
最初はぼろ雑巾に見えた。
イチョウの木の下にぼろ雑巾が落ちている。
神社にゴミを捨てるなんて罰当たりだと思ったが、その正体は真っ黒な猫だったのだ。「ゴゴゴゴ」とエンジンのようなイビキを書いていた。上機嫌である証拠だろう。
全身がふっくらしているデブ猫だ。しかし毛のツヤはいい。お腹がいっぱいだから寝ているのだろう。
猫は気楽でいいなと呟き、すれ違おうとした。
タケシは作文で困っているため、野良猫に構っている暇はない。

すると猫が「待ちたまえ」と喋った。
まさか猫が喋るなんて思わない。
驚く建をよそに、黒い猫は偉そうに「君の行動には問題があった」と話す。
猫が喋ることなど大した問題ではないとのこと。健は、そんなワケあるかいと思った。
健の気持ちを無視し、猫は続ける。
「真っ当な人間なら、野良猫に対してはもっと恩恵を与えるべきではないか?連れて帰れ」
猫は健に対して前足を伸ばした。指を指しているつもりなのだろうが、猫の短い手では可愛くなるだけだった。上から目線で問題点が理解出来かどうかを聞く猫に、健は反論する。
「間違っている。イチョウの木の下にいるから贅沢できているから、困っていないだろう。そんな猫に優しくする理由はない!」
黒い猫は黙り込むが、まだ何か言いたいような目をしていた。
その前に健は一番疑問に思っていることを聞く。
なぜ人の言葉を話せるのか。
すると猫はため息をついた。
黒い猫曰く、10万回くらい生きているとのこと。

健の驚いた表情を見て、猫は満足気に笑った。
健はかなり興味があったが、帰ってやることがあったので、長居は出来ない。
長時間になるなら帰ると決めて、どのくらいの時間がかかるのか、猫に聞いた。
15498時間かかるそうだ。
健は落ちていた棒を拾い、地面に計算式を書いて筆算する。1年以上かかると判明したので、3分で話すよう要求する。
黒猫はまたため息をついた。

猫の言うことをまとめるとこうだ。

  • 名前は《マ・ダナイ》

  • 飼い主は沢山いた

  • 名付け親は100年くらい前の人

  • 以前は児童文学作家に飼われていた

  • …が、餌が口に合わなかったため、家出

ここまで聞いて健は止めた。
3分経ったうえに、止めなければ1年以上喋る勢いだったからだ。
健はダナイをただのぐうたら猫だと認定し、その場を立ち去ろろうとした。
立ち去ろうとする健をダナイは慌てて止める。
ダナイ曰く先程の話には脚色がされていたそうだ。小説家に飼われていたので、話を盛る癖がついているそうだ。

今度は銀河の果からやってきたラッキーキャットだと語り始めたので、健はダナイの話を止め、別れの言葉を告げて背を向ける。
直後ダナイは、作文を手伝うことを提案してきた。
健の足が止まる。振り返ると、目を三日月のようにしたダナイが健を見ている。
なぜダナイが健の悩みが分かったのかは不明だが、ダナイの提案は、健の心を引き止めた。いつもの健なら無視して帰っていただろう。
児童文学作家に飼われていたとのことだが、アドバイスをしてデビューさせたのはダナイ自身とのこと。
これも本当かどうか分からない。
文字も読めるらしく、漢字検定2級レベルらしい。
健が地面に自分の名前を漢字で書いたところ、完璧に読んだ。
ダナイが握手を要求してきたため、健は戸惑いながら握手をした。

ダナイを家に連れて帰った時、母親をはじめとする家族は不思議なことに歓迎した。
ダナイは家族の前では喋らず、普通の猫になっていた。
その後、健とダナイは《今年の抱負》を2時間で書く。
ダナイはその後も健の家にいる。

登場人物紹介


文岡健ふみおかたけし


中学二年生。作文になると手が止まる。作家志望。


マ・ダナイ


10万回(?)くらい生きた猫。小説家に飼われていたことがあるため、文章には強い。ぽっちゃり体型なので、ダイエットをしようと考えている。


須藤翔すどうかける


健のクラスメイト


高嶺花奈たかねはな


翔くんとの恋の行方は?

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