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「もっと磨かせてください。切に...」2024/7/26

・30代も半ばになるまで、家事がちゃんとできなかった。掃除や洗濯や料理は、できればやりたくない、無駄な作業としか捉えられず、本気でメイドを雇いたいと思っていた。一度綺麗にしてもまたすぐ汚くなることに絶望し、終わらない地獄のような、河原で石を詰むような虚無感すら感じていた。

・全自動家電を買ったり、茶碗をかわいいものを揃えたり、家事の負担を少なくしてモチベーションをあげようといろいろ工夫したけど、いつも人としてギリギリセーフくらいの清潔度を保っていたものの、友人を招けるほどピカピカになることはなかった。

・でも最近になって変わった。毎日自炊したり、こまめに掃除してそれを楽しんですらいる。おかげでフローリングは輝き、チリ一つ落ちていない。自炊のおかげで毎日カロリーの低い美味しいものを食べられるようになり、体重もうっすら減ってきた。

・きっかけは、メグミさんの著書「キレイはこれでつくれます」を読んだことだ。美容本なのだけど、すぐに試せて効果が高い方法がたくさん紹介されていた。冷蔵庫に長いこと眠っていたシートマスクをつけるところから始まったのだけど、翌朝のお肌がプリプリになり、ケアする楽しさが実感できるようになった。手をかけた分だけ確実に効果が出るし、お金も時間もそんなにかからない。ならやったほうが得、という脳内回路がはじめて作られた。

・顔をプリプリにして、デコルテを光らせ、お尻をふわふわにしてしまうと、手をかけるところがなくなってしまう。もっと、もっとだ、、、もっと磨きたい!何かないか、と、見渡すと、フローリングには髪の毛が落ち、カーペットには固まったなにかがところどころにシミを作っていた。これだ、と思った。獲物を見つけたジャガーのような気持ちだった。

・それから、デスクワークで疲れた頭と体をクールダウンさせたい時に、気持ちが良いから、というモチベーションで家事をするようになった。掃除も自分をケアすることの延長だと捉えられるようになった。拭けば綺麗になりピカピカと輝く。とても気分が良い。お金も時間もそれほどかからない。ならやったほうが得だ、と思えるようになった。

・日々のケアは一生続くけど、その気持ちよさを知ってしまうと、一生続く小確幸(小さいけれど確かな幸せ)ということになり、同じような毎日を気が遠くなるほど繰り返す人間への、神様からのプレゼントと思ってもいいかもしれない。今日の夜は、お風呂のヘリを磨くのを楽しみにしている。そしてまた汚れて欲しい。何度でも繰り返そう。

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