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工芸家・鈴木繁男を認識した日

2024年1月某日
柳宗悦唯一の内弟子 鈴木繁男展 手と眼の創作
日本民藝館


柳宗悦を中心とした民藝運動。
さまざまなクリエーターとの関わりや生み出されたプロダクトはみなさんご存じかと思う。
「民藝」関連の展覧会がちょいちょい開催されているし、日本各地に「民藝館」が点在している。

鈴木繁男もクリエーターの一員かと思いきや、タイトルにもあるとおり柳宗悦の唯一の内弟子だったとのこと。
金蒔絵師の家に生まれたので、漆の扱いやデザインセンスの素地があったところに柳宗悦がロックオン。
いろいろと教育を授けたのだとか。
そんな鈴木繁男をフィーチャーした日本民藝館へレッツゴー。


●本館1階

・玄関 日本の漆工

漆絵柏文瓶子 室町時代 16世紀

黒字に赤の漆が効いているものが多い。
お椀、瓶子、お盆、重箱。
さまざまな植物、めでたい鶴亀、総箔のものも。

螺鈿細工や卵殻貼のアレンジも楽しい。
ぽってりとした存在感があるな~
菓子箱がものすごくデカいのが毎度クスッとくる。


・第1室 植物文様の焼物

鉄絵緑彩松文甕 唐津 武雄 江戸時代 17世紀後

美濃の鉄絵が渋い。なんてことない草花が描かれていて、日常使いに良さげな器とマッチしている。
唐津も渋い。
伊万里の色合いっていいな~

金継ぎがいいデザインになっている。ちょこっと継ぎから豪快に継いでいるものまで。
ちなみに柳宗悦は柳好きなのかな~やっぱり。

・第2室 B・リーチ、濱田庄司、富本憲吉
※2/1~だったので観られず…


第3室 柚木沙弥郎の仕事

型染花弁文帯地(部分) 柚木沙弥郎 1991年

雰囲気がガラッと変わる柚木沙弥郎コーナーーー
時代とか国を越えてるデザインが楽しい。
あうんの暖簾、生命の樹のパンチ力。
動物がかわいい。
幾何学模様の可能性は無限かと。
いきなりエスニック系にぶっ飛ぶ自由さも心地よい。


●本館2階

・第1室 朝鮮の石工と白磁

透彫輪繋文筆筒 朝鮮時代 19世紀 

柳宗悦の原点とも言えるのが、朝鮮の白磁だったそうだし。
虎がかわいい壺がめっちゃ継ぎまくってておもしろかった。


・第2室 民藝運動の作家たち

灰釉流描鉢 武内晴二郎 1960年頃

鈴木と切磋琢磨した武内晴二郎、舩木道忠・研兒、金城次郎など民藝第2世代の作品。
志布志、壺屋、スリップウェアの黄色、水玉、ストライプ、鳥。


・第3室 室町~江戸時代の絵画

大津絵 勝軍地蔵(部分) 江戸時代 17世紀

大津絵ってなんか好き。
絶妙な力の抜け加減というか、下手うま加減がツボ。
でもその中にいい感じの意味合いが含まれているような~いないような~
勝軍地蔵もありがたみよりも親しみを感じる。
天狗の鼻の上で牛若丸が逆立ちしてるのは初めて観た。アクロバティック!

大江山図屏風。
源頼光一行が酒呑童子を退治する話のダイジェスト版的な。
酒呑童子のはねられた首が頼光にかぶりついていてエグい。


・第4室 絵馬と神祭具

絵馬 鳩 江戸時代 19世紀

いろいろな願いを込めたであろう絵馬がいっぱい。
こちらも大津絵風の味があるものから迫力のあるものまで。
「双手」が描かれているものが複数あって、これって河井寛次郎が好んでいたモチーフだよね?
なにかしら意味合いがありそう。調べてみよ。


●本館2階 大展示室

漆絵とさりげない器たち

鈴木繁男は陶磁器、装幀、漆絵を多く手がけた。
雑誌「工芸」の表紙は漆で描かれたもの。なんというか、やり過ぎずにいい塩梅のデザイン。


砥部 壺屋 砥部


砥部 砥部 磐田窯


ぽってりだけじゃあない、すっきりとした砥部焼がちょっと新鮮。
壺屋の派手な絵付けもやってる。

「工芸」の表紙たち


柳の著書の装幀も手がけていて、ま立場的に当然と言えば当然かな。

日本民藝館を訪れるたびに、陳列棚がいい味出してて素敵~と思っていた。
この辺も鈴木繁男の拭き漆を施したとのこと。さすがですな。


いつもながら眼福だった~
今まで民藝館で目にしてきたものが、鈴木繁男によるものだったと改めて認識した。
民藝スピリットを真面目に受け継いだ人だったんだろうな~と感じた。

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