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モダンなセンスはタイムレス 杉浦非水のデザイン

2023年8月某日
杉浦非水の大切なもの 初公開・知られざる戦争疎開資料
川越市立美術館


埼玉県川越市。小江戸とも呼ばれる、江戸の情緒が残る街。
そこのところををグイグイ押し出して、観光地として人気。
都内からわりと近いし、いつでも行けるかなあと思って行ったことがなかった。

このたび、杉浦非水の展覧会が開かれているということでレッツゴー。
2021年にタバシオの特別展で観てから、個人的に気になる存在の杉浦非水。
近代日本のグラフィックデザイナーの先駆け。当時は図案家と呼ばれていた。

ポスターや雑誌、出版物の装丁などなど、クライアントの要望に応えつつ非水感がある。
とにかく洒落てる。なのでおのずからグッズも洒落てる。
ということで「ひすゐ」の世界に再び浸りにいったのだった。


序 非水と岩﨑家

翠子さんの写真、なかなか気が強そうでいいな~
デザイナーと歌人の夫婦は、マスコミでフィーチャーされることも多かったらしい。
モボモガ。時代のパワーカップルみたいな。


1 明治期の仕事
三越の嘱託だったので、三越関連の仕事が多い。
「みつこしタイムス」って冊子、毎月来るの楽しみだったろうな~顧客の人たち。
和風、アールヌーボー風、さまざまな世界を見せてくれるって感じ。ときめくわ~
結構鳥のモチーフが多いような気がするのだけど。


2 雑誌表紙1
三越も三越意外の仕事も。嘱託だからいろいろできたんだろうな。
ヨーロッパへの渡航費をひねり出すために、2年分の表紙デザインを前納したらしい。
気合いというか、引き出しがすごい!
そら図案集もできるわな↓


3 図案集
こちらもさまざまなモチーフや世界観が繰り広げられている。
インクのコストを考慮してか、2色や3色で構成されているものもあったりして。
でも色数の少なさなんてまったく感じない。デザインの妙。
芸艸堂がダイジェスト版を出してくれないかな~


4 『非水百花譜』原画とスケッチ
このたび新発見の『非水百花譜』原画はかなりのボリューム。
シンプルにして細密って感じ。結構きっちりした性格だったかも?と思ったり。
デザイナーっていうとちょっと感覚的な要素もあったりするけど、
絵を描くスキルがベースにあったんだなあ。


5 ポスター
東京の地下鉄開通ポスターがモダーンでかっこよ。
なんか新しいことへのワクワク感があるのよね~広告ってそういうことよね~
あとヤマサ醤油のポスターがおもしろい。
都会のビル群に混じってヤマサの醤油瓶がどーんとそびえ立ってる。


6 雑誌表紙2
ヨーロッパ遊学後、大正期の甘美な感じからちょっと雰囲気が変わる。
アールデコ風な、直線的だったり赤黄青などパキッとした配色になったり。
仲間たちと商業美術研究雑誌「アフィッシュ」を立ち上げたり。
アフィッシュ!ってなんか言いたくなるフレーズだね。


7 さまざまな仕事
細々とした紙ものや、年賀状など。
非水デザインの年賀状、欲しいな~
カルピス、煙草、家電、うちわ、包装紙などなど多岐にわたる。


「杉浦非水の大切なもの」が川越にある理由。
非水の妻で歌人の翠子が地元の商家岩崎家出身で、第二次世界大戦の折に膨大なグラフィック作品を川越に疎開させていたとのこと。
戦後は東京に戻したけど一部は残り、岩崎家の人々が守ってきたのだそう。

いや~守ってきてくれてありがとうございます!
おおよそ100年前のものだけど、モダンな雰囲気をまとっているプロダクトたち。
いつ観ても(ってまだ2回目だけど)、なんだか新鮮な驚きというか、そのセンスにほえ~っと感心しちゃう杉浦非水であった。

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