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人を動かす言葉

「保毛尾田保毛男みたいだね」と、息子(23歳)に言ったことがあります。
言いたいことは、何一つ伝わりませんでしたけど。
(知らない人は調べてみてください)

すべすべお肌だったはずの息子も、気が付けば毛深い大人になっていました。中でも気になるのが髭の濃さ。いつも頬に傷もあるし、安物のカミソリで髭剃りしているからか? と、20歳のお誕生日にはちょっと良さげなシェーバーをプレゼントするも効果なし。

肌さえ綺麗なら、山崎賢人に見えるのに(←私限定の思い込み)

髭脱毛したら? そんな顔じゃモテないよ。
髭脱毛したら? 顔が汚すぎるよ。

離れて暮らす息子に会うたびに、何とか髭脱毛を勧めたいのに、全くやる気なしだった息子。
ところが先日、お正月以来に会ってみると、なんかイケメン(←前に比べて、です)になっていたのです。

「もしかして、髭脱毛した?」
「うん」
「あんなに興味なさそうだったのに!?」
「友達が髭脱毛して、毎朝の時短になるって言ってたから」

なるほど。顔を綺麗にしたいという思いがこれっぽっちもない息子に、見た目をどうこう言っても響くはずがありません。
息子の心を動かしたのは、彼の価値観に響く友人のたった一言でした。

効率こそ命の息子。
「毎朝の時短」と言う言葉は、彼にはとても魅力的だったのでしょう。

「髭脱毛、やってみてどうだった?」
と聞くとやはり、「朝髭そる時間が無くなったのがいい」との答え。
見た目を整えるはずの髭剃りなのに、髭がなくなったことよりもその作業時間が無くなったことの方が、彼にとっては大きな成果だったのです。

私がやっていたのは、歯周病を気にしている人に美白歯磨きをすすめるようなもの。そりゃ、聞く気になりませんよね。

相手を動かしたい時こそ、相手に響く言葉を使えないと、伝えたいことが伝わらない。

そんなことに気付かされた、10数年ぶりの息子のすべすべお肌でした。


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