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ばあちゃんの話。

1月でばあちゃんが94才になった。
ばあちゃんは40年前におじいちゃんを亡くしてからずっと1人で生きている。
そんなばあちゃんをたくましいと思うし、尊敬している。

でも、ばあちゃんが94才になった日におめでとうと電話をして「100才までもうすぐやなぁ」と言うと、ばあちゃんは「ばあちゃんもうしんどいねん。こんなようけ生きたないわ。」と言った。

「なんでそんなこと言うんよ~」と笑って答えたけど、電話を切ってから考えたら、そらそうなのかも・・と悲しくなった。

ばあちゃんは、頭はピンピンしているが、足が悪く、一日中椅子に座っている。
トイレに行くときは杖をついて行くのだけど、お風呂は一人で入れないし、母や叔母が交代で介助をしに行っている。

「一緒に住もう」と母が何度も誘ったけど、父に申し訳ないと断固拒否。
でも毎日のように母が片道30分かけて自転車で通っているのだから、そっちの方が負担だったりするんだよと思いながら・・・ばあちゃんにとったら義理の息子に一番気を使うようなのだ。

そうやって一日家にいる生活を何年も続けているわけで、元々自分にお金かけない性格だから、趣味もなく、ただ1日中テレビを観て、娘たちにお世話をしてもらう生活は、しんどいんだろうな。。

孫やひ孫に会えるのも何週間かに1回だし、生きている楽しみっていうのは難しいのかもしれない。
ばあちゃん、どうやったら楽しく1日過ごせるんだろうなぁ・・

考えてしまった。

ばあちゃんは、ばあちゃんのばあちゃん(祖母)に育てられて、近所にいる親戚だと思っていた人が母親だったというまぁあぁ壮絶な過去を持っている。
誕生日も1月で登録はされているけど、ほんまに誕生した日にちは定かじゃないらしい。
(占いとかできひんやん)

中学校にも行ってないし、実母は再婚したけれど引取ってもらえず、15才で、遠い親戚のじいちゃんと結婚させられた。
じいちゃんの母親(いわば姑)はなかなかのいじわるばあさんで、末っ子だったじいちゃんを甘やかし倒し、じいちゃんは今でいう完全にダメ男だった。

ろくに働かず、浮気性。
近所の奥さんに手を出し、その旦那が「うちの嫁とあんたの旦那はどこやー!」と家に乗り込んできたこともあったらしい。
じいちゃんの父(舅)はまじめな働き者で、舅の稼ぎで細々と暮らしていたそう。

戦争中も色々苦労したらしく、生きていくためにお酒を売ったことで、まだ赤子の母を背負ったまま収監されたこともあったという。

晩年はじいちゃんもまじめに働くようになったらしいけど、50代半ばで亡くなって、そこからばぁちゃんは40年間1人暮らし。

そら強いし、強くならなあかんかったんだよね、ばぁちゃん・・・

じいちゃんは私が生まれてすぐ亡くなったので、全く記憶がないし、そこからもたくさんの孫、ひ孫に囲まれたのはばあちゃんだけ。
ばあちゃんは幸せだったはず。

もっと「ざまぁみろ、じーちゃんよ。」って言いたい。
もっとばあちゃんには幸せなまま最後まで生きてほしい。

とりあえず、今度の休みに、ばあちゃんにユーキャンのペン字のやつと、高齢者向けの通信ラジオ講座の申込書を持っていくことにする。

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